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一色登希彦 ブログ / 三重県の小さな町に在住 現在は飲食店に従事 漫画描いてました

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「漫画家のなり方」33

第9章 最初に雑誌に載るまで

雑誌に1作目の掲載を目指している方に向けて本章を書きます。
雑誌掲載がすでに1本かなっている方は、この9章は流し読み的にどうぞ。


   その1 編集者とのやり取りが再度始まる

「また見せて」と言ってくれた編集者に、再度ネームを見せに行き、打ち合わせを開始します。
本章での最終目標は、描いた漫画が雑誌に掲載されることです。


そういえば、描き上げた1作目を新人賞に出した場合、そして「雑誌掲載ではないけれど、受賞」をすることなった場合に関して何も書いていませんでした。
その場合は、賞の選考結果をきっかけにして編集者と縁が持てるはずです。
やはりその次からは完成作品でなく、ネームで見てもらえる、という立場をもらえるはずです。
そこからのプロセスも、同じく本章から始まります。

なによりもまず、編集者にネームを見せに行きます。

そのネームは、最初に編集者と挨拶を交わし、やり取りしたときから、できるだけ短い時間で描き上げて、見せられるとよいです。
編集者が、たくさん抱えている印象の似たような「漫画家志望者」全員を個別に覚えている時間は、それほどは長くありません。むしろあっという間に忘れられます。
自分にとっては「恋人候補」のように見える編集者ですが、相手の編集者にとっては自分は「ものすごくたくさんいる、“愛人候補”のひとり」です。
相手が自分を覚えているうちに、次のネームを見せに行きましょう。


   その2 自分の中の「よいイメージ」を絶対に守り通す

描きたい漫画は、この時点ではまだ自分の中にしか存在しません。
自分の中の、よいイメージ、理想型、それを裏切ってはいけません。
そして、難しいことですが、同じくらい、かたくなになってもいけません。

自分の創りたいものに、編集者はじめ、色々な人が色々なことを言い出し始めます。
有用なこともあれば、ピントのずれた意見もあります。

イメージを守りながら良い形にしてゆくノウハウが身に付いていれば良いのですが、それが未熟な場合、他者の余計な意見を退けながら、良いものは何かを見失わないようにしながら、冷静でいることはたいへん難しいです。

それでも、自分の中にある理想を知っているのは自分だけですし、それを守れるのも自分だけ、多くの他者の「声」の有用無用の取捨選択をできるのも、最終的に自分だけです。

その大切なところを、「こんなもんだろう」といちどでも妥協してしまっては、そのあとももう、なし崩しの妥協の連続になります。
「こんなもんだろう」と思ってしまった時点で、出来上がるものは、「そんなもん」になり、それ以上にはなりえません。

そうやって、誰が作っても同じ、非難もされなければ感心もされない、毒にも薬にもならない、無意味なものが出来上がってしまいます。他人の心に届くものには、永遠になりえません。

この時期は、漫画家になろうという段階の中でも、とりわけ困難で大事な時期のひとつです。
それゆえに、自分の中にある理想型を絶対に見捨ててはいけません。
「描きたいもののイメージ」を守り通してください。守り通し方を、試行錯誤して見つけ出して下さい。

同時に、ひときわ難しいのは、
「しかし、かたくなになってもいけない」ということでもあります。


   その3 よい打ち合わせとは?

編集者と打ち合わせをします。
プロの連載作家になれば、編集者は漫画家の自宅や仕事場に打ち合わせにきてくれますが、この時点では、出版社の編集部や、出版社の近くの喫茶店やファミレスで待ち合わせをして、そこで打ち合わせをするのが普通です。
喫茶店やファミレスの代金は、通常は編集者が会社の経費として立て替えて支払ってくれます。
しっかり「ごちそうさま」とお礼を述べて下さい。

打ち合わせ以前に、編集者に連絡し、ネームを見せる、打ち合わせをする約束を取り付けます。
後述しますが、この作業で気後れしないで下さい。
「しつこいと、イヤがられるかな」とか、編集部への電話は緊張する、とか、色々ありますが、ここで気後れしていては、何も始まりません。
この時点の自分の「しつこさ」など、プロのしつこさに較べれば屁みたいなものだったということは、あとでわかるばかりです。
気後れに、なんの利点もありません。

さて。
良い打ち合わせは、自分なりの言い方で、定義出来ます。

打ち合わせ相手とのちょうど真ん中の空間に、出来上がりのネームがもう存在しているかのようなやりとり。
「知っている漫画」について、「あそこの場面がいいよね」「あのキャラクターのあのセリフが・・・」と話すのと同じように、「もう存在している漫画」であるかのように話せるくらいに、漫画の完成形のイメージが浮かんでくる打ち合わせ。

「キャラクター」の話であれば、実在の知り合いの面白い話をしているみたいにそのキャラクターの存在感を感じられる打ち合わせ。

あとはもう自分が、実際のネームを描くだけ。
というか、自分が描かないと、この世にその漫画が出てこないから、もう、しょうがないから自分が描く。

そういう風になるのが、よい打ち合わせです。


   その4 打ち合わせを何となく持ち帰らない

編集者との一回の打ち合わせの時間の価値は、換算するならば1万円~数万円になるはずです。
根拠もあれこれありますが、長くなるので、まあ、置いておきます。

いずれにしても、それで給料を手にしている編集者が仕事として、そして漫画家になりたい自分自身も、自分の作品をお金に換えたい、そのプロセスの大事な時間として、向き合います。

その時間には、お金がかかっています。

その打ち合わせの場から、何かが生み出されなければ、お金に換えられる打ち合わせにはなりません。

で、編集者は実際には漫画を描けないので、・・・

あ。ここで急に思い出し、話をそらします。
編集者はもちろん漫画好きで、その中には、漫画を描いていた経験がある人もいて、まあ、なかなか画がお上手な人もいらっしゃるようなのです。
そうした人の中に、うっかりこのようなことを口走る編集者がいます。
「まあオレも、漫画描こうと思えば描けるんだよね」(実話)

オレも編集者の仕事、やろうと思えば出来るんスよ!!

・・・言わない言わない。思っても、言っちゃダメよ。

あ。戻ります。
で、編集者は実際には漫画を描けないので、編集者の武器は、話し言葉と文章です。
論理的に話をする。思考を言語化する。同じく文章化する。
編集者のそうした能力はやはり素晴らしいです。

そして、最初は編集者の言葉に圧倒されもします。
聞けば、たいへんにスジが通っていますし、理にかなったアイディアや代案を次々に出してくれもします。
なにしろ経験値が違います。
何となく、聞いているうちに、もっともな気がしてくるのです。
「ああ、ひとまず聞いておいて、ウチに持ち帰って、あとからゆっくり反芻して、そして、ネームを直そう」
と思うかも知れません。

そのような思いで、ウチに持ち帰ってはいけません。

漫画は、「対話」から生まれます。
自己と自己との対話。
自己と編集者の対話。
自己と想定読者との対話。
そうした対話から、すり減り、傷つき、自問自答をしながら、漫画を磨いて行きます。

決して、内容への「注文」や、言われたことの「持ち帰り」からは、生きた漫画、人の人生に影響を与える漫画、自分を世界の混沌から救い上げてくれる漫画は、生まれません。

なんとなく、もっともそうな気がしたので持ち帰る、そのあとで、
「・・・???、よく考えたら、まったく納得がいかない。これではとても描けない」
という気持ちになることは、多々あります。

「納得がいかない。そう思う自分が間違っているのだろうか?」
間違っていません。

間違いは、納得したつもりで持ち帰ってきてしまったことです。

そうやって持ち帰ってきてしまうと、打ち合わせで編集者の言った通りの直しで描き直せない限り、編集者にまた連絡をしてネームを見せに行くことが出来にくくなってしまいます。
そうやって、アタマを抱えて、描き直すこともできず、編集者に見せにいくことも出来ず、という情けない時間が過ぎます。

また、締め切りがないので、いくらでも悩めるのが問題で、面白いように時間が過ぎて、どんどん「自分ってダメな奴・・・」になってきます。

打ち合わせのその場で、異議申し立てをし、意見の交換をし、代案の提出を出来るようになり、
「対話」でネームを作れるようになって下さい。

言葉の訓練は必要です。
ただ単に、感情的に「納得がいかない」という表明だけでは、「対話」は生まれません。
どれだけ拙い言葉でも良いから、自分の言葉で話を出来るように試み始めて下さい。

確かに、その拙さに付け入って、相手に攻め込んでしまう編集者もいます。
けれど、拙くても、相手が自分の言葉で話すのを待っている編集者も、もちろんいます。

その場で「まだ見ぬ漫画。けれど実在するリアリティを備えた漫画」が、ふたりの間にポカンと浮かぶような打ち合わせの仕方を築き上げて下さい。


   その5 直せと言われたら、その場ででも直すつもりで

打ち合わせをして、ネームを「直す」ことになれば、「わかりました」と言って、その場を去りますね?

次、その直したネームをいつ持ってくるか、約束をちゃんとしましたか?

編集部の隣のブースで、他の新人さんが、持ち帰らずに、「今、この場で直します」と言ってネームを直し始めることはないでしょうか?

プロの漫画家さん、週刊連載の漫画家さんは、「わかりました。では」と言って、その場でネームを直します。
時間がないので。
あるいは電話で打ち合わせをして、そのまま電話口でネームを直し、電話を切るなり直したネームのファクスをします。
時間がないので。

そうした人々に負けない目立ち方とクオリティで、ネームの直しのペースを身に付ける必要があります。


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| 長期シリーズ/「漫画家のなり方」 | 08:23 | comments(-) | trackbacks:0 | TOP↑

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