一色登希彦/ブログ 

一色登希彦 ブログ / 三重県の小さな町に在住 現在は飲食店に従事 漫画描いてました

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#34 「週刊ヤングサンデー」休刊

 自分にとっては「ホーム」としての存在であった「週刊ヤングサンデー」、
休刊が本日正式に発表されました。



 初の週刊連載(そして同時に今の所、最長連載)である「ダービージョッキー」と、
そこからさかのぼって「初の集中連載」、さらにさかのぼって「初の前後編」の掲載と、
多大なチャンスを用意してもらい、沢山の読者様と出会う場を下さった、
文字通り「ホーム」たる雑誌です。

 ファンとしては、雑誌が「少年ビッグコミック」だった頃(その前もだけど)から
大好きな雑誌で(それは「隔週刊」という発刊ペースも要因だったのですが)、
「漫画家になったら絶対この雑誌で描きたい」と長いこと恋していた雑誌でした。

 雑誌名が替わった後ではあったけれど、その恋も叶い、
上に書いたように多くの読者の皆様と出会うことができ、
多くの作家さんと知り合うことができ、
ことごとく尊敬すべき編集さんと仕事をさせていただくことができ、
そのすべてが今の自分につながっています。

 漫画家としての自分を鍛えてくれた雑誌です。

 恩は返したくても返しきれないほどあるから、
それゆえ、無くなってなど欲しくなかったし、
「ダービージョッキー」が終了してすぐにまた執筆、という
ご縁を贅沢ながらも選ばなかったのは、
「ふるさと」は、遠く健在であって、そしていつでも帰れる場所であって欲しい、という、
「子」の勝手な贅沢であったのだと思います。

 その「故郷」が無くなっちゃったよ。

 センチメンタルを申せば、悲しいです。

 ロジックから語れば、・・・ロジックではないけれど、
揺らぎます。

 もちろん現在のレギュラー執筆陣の皆様、
現場の編集様の現状の心情と同じレベルに立てるとは思いません。
 が、同時に、今後に渡って、自分と無関係なニュースではないです。

 
 「漫画を取り巻く状況は大きく変わってきていて・・・」という
フレーズは、もう長いこと言われてきていますが、
確かに現状を「これでよし」としていたら、
瞬く間に「それじゃダメ」になるでしょう。
 おそろしいのは、「これでよし」とはしていないつもりでも、
えてして「これでよし」となってしまっていることです。

 こんにちの「ヤングサンデー」誌が、「それでよし」なパフォーマンスだったかと言えば、
満点とはならないだろうと思います。
 一方、作家さん/編集部が、「これでよし」などと思っていなく、
常に前進を心に留めていることも知っています。
 また、現状、満点でないとしても、だからといって「休刊してよし」などとは
思えません。

 誰も正解を見いだせていないまま(の休刊決定)であることに、
問題の深刻さがある。

 今回の小学館の休刊決定からは、
「漫画や、漫画雑誌のあり方はこうであるべき」という
漫画への“夢”や“ビジョン”が感じられません。
 新雑誌創刊/新プロジェクト発足といったニュースではないのだから
当たり前かもしれませんが。
 営利企業としての損得勘定の見地からは真っ当な判断なのかもしれないけれど、
このまま「敗戦と判断したので撤退します」という発表で
終わってしまうのであれば、エンターテインメントを
配信する企業として、欠格を感じます。

 きっと何かが、変わるべき場所から、変わるべきタイミングで、
大きく変化するのでしょう。


 ソニーの「ウォークマン」というものが、デジタルメディアに
なってからこっち、どうしょうもなく冴えないと僕は思っているのですが、それは、
「どんな理屈をこねたって、「iPod」の影響無しで作られたものではないでしょ?」ということが自明だからです。
 
 アップルの「iPod」は、「音楽の聴き方」を変えてしまった。

 この「音楽の聴き方」が現行のままであるうちは、
「音楽を聴く道具」は「iPod」のことだと思います。
 
 もちろんかつては「ウォークマン」が、「音楽を聞く道具」の代名詞だった。
「ウォークマン」は、その当時の「音楽の聴き方」を変えてしまう発明だった。
音楽といえばソフト(アーティスト)もハード(ウォークマン)もソニー、という
時代があった。
 
 コンピュータが個人に浸透してきて、音源をコンピュータに保存し、
携帯端末型プレーヤーで聴く、という「発明」がなされた際に、
ソニーはグループあげてそれに抗う方針をとって、
「それまでの形/権利/名声」を守ろうとした。
「作家(アーティスト)の権利を守る」というお題目もあったと記憶します。

 「iTunes」で奥田民生の楽曲を買って落として聴けない残念な現状である
時点で、ソニーはもう負けたのだと思います。


 旧いシステムは、新しいシステムの登場を最初笑うし、
侮れないとなれば、おそれて守りに入るし、そして自らの旧さを
認めて変化しなければ、負けます。

 

 小学館が、「経営的に」ヤングサンデーは負け、と判断し、
撤退する、そこまでは、汲むとしましょう。

 そのあとの「新しい漫画の提供のしかた」、
「漫画を読ませる道具(紙?インターネット?)の提供の意思」、を、
経営陣の皆様が提示なさるなら、
あるいは編集部/現場の意思をくみ上げての提示をなさるなら、

 今回の、「多くの人が(俺も)愛した雑誌」をこの世界から永遠に
失わせる決定も、甲斐があるでしょう。
 「ヤンサンの死」も報われます。
 身を切られる思いをしている人は、そのことを忘れるべきではないし、
 決定を為した皆様は、身を切られる思いをしている人がいることを想像し、
それに報いるだけの「次のモデル」を提示していただきたいです。

 

 「次のモデル」は何かなんて知らんよ。
俺の考える筋合いじゃないよ。
 
 俺は漫画を描くだけだよ。

「聴かれる力のあるアーティスト」は、
レコードから、ウォークマンから、iPodになっても
聴かれ続けるみたいに、読まれ続ける漫画を目指すだけだよ。
iPodを発明するのはミュージシャンの仕事じゃないでしょ。

 その時に効率の良い「読まれ方/対価の発生のしかた」に乗せて
読んでもらえるものならば、
「読まれ方」は何だっていいんだ。

 
 怒ってんだよ俺。

      

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