一色登希彦/ブログ 

一色登希彦 ブログ / 三重県の小さな町に在住 現在は飲食店に従事 漫画描いてました

PREV | PAGE-SELECT | NEXT

≫ EDIT

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

| スポンサー広告 | --:-- | comments(-) | trackbacks(-) | TOP↑

≫ EDIT

「レーベル」雑感/どうやって「横並びの砂漠」から「大好きな作品の本棚」を構築するのか?

「電子書籍」についてあれこれ考えることが続いています。

今はあまり整然とまとめあげることをしないで、思いつくまま浮かぶまま羅列して行こうかなと思います。


「レーベル」の話

昼間、知り合いの漫画家さんとお話ししまして、最近の「漫画家が出会ったらする話」の常で、iPadやKindleの話をしておりました。


ちなみにその漫画家さんは、App Storeのライセンス(言い方合ってるかわからん)を手にしている(これは強みだ)友人たちと、すでにiPadでの漫画アプリの開発を始めています(佐藤秀峰さんではないですよ)。

話をしていてその漫画家さんが言ったことで面白かったのは、

「iPadは素晴らしいであろうけれど、アップルってやっぱり技術屋さんなんですよね。たくさんの開発者とそのアプリとの関係を構築して、置き場所を作ってくれたのは良いのだけれど、横並び過ぎて、もはや無数のアプリから選びようが無くなっている」

「それに比べると(Kindleではなく)アマゾンでの検索や買い物の面白さって優れていて、ああ(ネットに於ける)棚がよく構築された本屋さんだなって思う」

といったことでした。

2月13日のエントリー、漫画原稿データ化の考察を続ける、の最後で自分が書いたこととも通じます。

信濃川日出雄さんが「受け手が、沢山の作品や作者から好きなものを選んでゆくためには、「レーベル」が必要だ」とおっしゃっていた、という部分です。

確かに、アップルの構築したiTunesやApp Storeの無数の「タイトル群」から、どのようにすれば、今までは雑誌を読んでいれば歌番組を見ていれば友達と出来るであろう会話、

「ワンピース読んだ!?」

「ゆうべ見た? ミスチル」

というやり取りが成立するような作品を掘り出し、分かち合うことが出来るのでしょうかね?

それとも、ネットから「何か良いもの」を見つけた後、現実に於いてそれを元にそういうやり取りをすることの意味とかがもう、無くなって形を変えてしまっているのでしょうかね?

漫画(に限らずこんにちの表現全般)は、見知らぬ多くの人に受け取ってもらうことに意味がある、という面があると思います。

「出版」を軸とした現実の「漫画産業」は、もちろん、「多くの人が共通して読んでいる」ことを前提に成立していました。

そこには、茫漠たる砂漠ではなく、「出版」という尖塔を囲むように、確固たる城下町/城壁/城塞都市が成立していて、人はそこで同じ言語で同じ豊かな食べ物を分かち合っていたはずです。

その「旧い街」が新しい砂漠に飲まれ、目印の無い茫漠とした世界になったとき、今度は何を目印に街を作り、人が集まり、好き嫌いを見分けあい、言語を束ね、市場を開き、繋がりを作って行けば楽しいことになるでしょうか?

「電子書籍」や「漫画の未来」について、多くの人がビジョンを持って、予見したり試みたり語り合ったりしていますが、どれが正解なのかは、分かりようもありません。ただ同時に、既に今、確実に、「後世には当たり前の物として残るもの」は構想されて語られて世に出ているはずです。誰もそうとは知らないまま。

どれが「未来」か夢想して語り合うのは、楽しいことです。

時々、今持っているものを大事にしなければならない立場の人を逆なでしてしまうことがあるようで、面倒も生じることがあるようですが、それは些細なことです。


「絵の画像データ」と「ネームのテキストデータ」と別の、「もうひとつ必要かもしれないレイヤー」

漫画のデータ化の際に、いくつかの将来的な汎用性の為に、「絵の画像データ」と「ネームのテキストデータ」は別にしておいた方が良いのかもしれない、ということも書きました。「海外版」を想定するなら、という話です。

「海外版」を考える場合、実は、さらにもうひとつ、「ネーム」の他に「描き文字」が問題として残ります。

どうすればいいのですかね?

描き文字までを翻訳するとなると、相当な手間がかかります。

そもそも、描き文字は、「翻訳すべき文字」なのか、「画の一部」なのか、という問題もあると思います。

アメコミのカッコいい描き文字とか、むしろ翻訳(描き直し)されずにそのままであってくれた方がカッコ良く思えるのは、英語はカッコいいとかアメリカかぶれ西洋かぶれの洗脳がまだ残っているだけなのですかね?

既存の紙の単行本の海外版は、描き文字が現地語に直されているものも多いです。これをデジタルで著者レベルでやろうとすると、かなりの手間です。

一方、描き文字の現地語直しは、直した部分の「空白」を現地の製版の際に埋め直し(描き直し)てるようで、その手間も恐れ入りますが、時々、

「キャラ線を勝手に描き足すんじゃねーよ!!」

と言わずにいられぬ修正をされていることがあって、度肝を抜かれます。

それが絶対にいやならば、これはなかなか大変な作業ですが、描き文字を「第3のレイヤー」として、別のデータにしておく必要が生じる時が来るのかもしれません。

これまた継続案件で。


デジタル制作は漫画の質の低下に関係なくはない、の件

添えようと思いましたが時間が足りないので、また改めて書きたいと思います。

映像の世界に於いて、CGが入りはじめた頃によくCGに関わる人から上がっていた言葉を見聞きしたことを思い出します。

「CGって、動きを付けた時に、実写やセルアニメとは違って「重さ」を出しにくいんですよね」

いまではこの言葉が「ウソ」であることは、少しは分かりやすいと思います。実写やセルアニメと違って不利なのではなく、「ノウハウの欠如」「仕組みの浸透度合い」「仕組みへの認識を分かち合えているかどうか」といった問題です。「CG」が悪いわけではありません。にもかかわらず、今でも一方ではそれをわからないまま「実写みたいなフルCG映画」という間違った使い方をして、「やっぱCGはダメだね」と言われる口実にされるような作品が相変わらずあるのも事実ですが。

「漫画をデジタルで描けること」は何も悪くありません。

その前の段階として、「漫画を描けること」を身につける必要があるのですが、最初から全てをデジタルから入ってしまうと、今の時点ではその「漫画を描けること」のために必要なことのすべては身に付けにくい、むしろ大きな取りこぼしをする可能性をはらんでいる、という事です。この考えは今の時点で疑っていません。

エンジニアが、手で粘土をこね、手でモックアップを削り出し、手で描く「製図板」の上で思考して「もの」を作り出していたプロセスを離れ、マウスとモニタ画面しか使わなくなってから失ったもの。大工職人がプレカット工法の普及で失ったもの。

それらを補完して、「喜ばしい物」が作られる産業に再度安定するまでは、多大な損耗と再構築が必要だったはずです。それでも、二度と取り戻せないものもあります。それらを「ノスタルジー」「ロマン」「懐古」と笑って済ませられるくらいのものになるまで、新しい物は磨かれ、通用する物にならなければいけません。

漫画制作が、「デジタル化」で失うもの。それは、「ペンタブではこのペンタッチが出せない・・・」とかいう表層的なことではありません。

漫画を描く作業はほぼスポーツのプロセスと同等です。脳と体と道具をフルに使って、この世に「物理的痕跡」を残します。そこに「デジタル」が介在することは、一大事なのです。

「漫画をデジタルで描けること」は何も悪くありません。デジタルが漫画を劣化させるわけではありません。

「漫画にデジタルが介在することへの無自覚」が、漫画の仕組みを劣化させる可能性を持っている、という話です。

前のエントリーでも述べたように、自覚的に移行したかたは、問題はありません。加えて言うなら僕も問題はありません。

僕はもう、デジタルだろうが手描きだうが、「お前の漫画が面白いかどうか」の俎上に乗ることが出来ます。

ただ、中には、

「漫画作りを身につける前に、デジタルしか知らないから、君、大変なことになっとるぜ」

という状況を迎える人がいます。

その人は、その後に立つべき「デジタルだろうが手描きだうが、「お前の漫画が面白いかどうか」の俎上」が遠くなります。

手短かには具体論に入りにくいので、そんなわけで継続案件で。

ちょっとポテトサラダとキスのフライとか作りに戻らなきゃいけないので、また!!


以前の電子書籍もろもろカテゴリのエントリー

漫画原稿データ化の考察を続ける(2010.02.13 Sat)

漫画原稿データ化の話題の続き/すなわちレコーディング→ミキシング→マスタリング→複製/流通の「規格」の話(2010.02.06 Sat)

「電子出版」←死語化希望(2010.02.05 Fri)

iPad(2010.01.29 Fri)

| ウェブコミックもろもろ | 21:45 | comments(-) | trackbacks:0 | TOP↑

TRACKBACK URL

http://toki55.blog10.fc2.com/tb.php/189-3028e8a7

TRACKBACK

PREV | PAGE-SELECT | NEXT

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。