「漫画家のなり方」79

番外編 印刷会社さんに「社会科見学」(また長文です)


編集者が、本当にやめて欲しいと思う「漫画家どうしの横の連絡」

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漫画家A「もしもしー Bさん? 今飲んでるんだけどさー 来ない?」

漫画家B「まだ原稿が終わらないんですよー Aさんはもう原稿上がったの?」

漫画家A「いやー 締め切りは週明けってことなんで まだ大丈夫大丈夫」

漫画家B「あれー? 自分 その同じ号 この週末が締め切りって言われてたのでテンパってたんですけど」
    「だったら大丈夫ですねー 飲みに行きまーす 今から」

ーーーーーーーーーーーーーーー

編集者「・・・ホンッとーに やめて下さい こういうの」


・・・という、編集さんの魂の叫びを聞き及び、ならばそれはいったい
どういうことなのかと知っておきたい、と思いました。

だって・・・同じ号の雑誌の締め切りなのに、
あの人は週明けまで待ってくれてるのに、
こっちは今週の木曜までに原稿くれって・・・どういうことよ、とか
やはり思ったことがあるのですよ、自分も。

漫画家が、漫画の原稿を描き終えて編集者に渡し、(主に)夜明けの街に
繰り出した頃。
そのあと、漫画の原稿がどのように「漫画雑誌」になるのか?

簡単なことはもちろん知っていますが、
自分も実は具体的にはよくは知りませんでした。

漫画家をやっているのに、それを知らないというのもどうかと思い、
お願いをして、印刷所さんの見学取材に行って参りました。

フォークリフト

こんな注意書きがあるところ。

その詳細を(僕並みに)よく知らない、すべての漫画家、漫画家志望者に
知ってもらえればと思い、取材記をまとめました。
共同印刷さん

取材させていただいたのは、

外観

都内文京区にある、

看板

共同印刷株式会社さんです。
共同印刷さん、お忙しい中、ありがとうございました。

こんな、

食堂

素晴らしい社員食堂があります。

ランチ

メニュー・・・

やすっ

やすっ!!

安くてきっと美味しいのでしょう。
入り口には・・・

注意書き

・・・こんな注意書きをしないと、
おなかをすかした方がやってきてしまうようです。

案内をしてくださった方が、
「その注意書きがイチバンの社内機密だから撮っちゃダメですっ!! やめてー!!」と
おっしゃるのを力ずくで振り切って(ウソ)、撮りました。


3つの工程

漫画をはじめ、色々な作品や記事が「紙の本」「紙の雑誌」に
なるには、作者が原稿を出版社/編集者に渡したあと、大雑把に、
「製版」
「印刷」
「製本」
といった段階があります。

それぞれの作業をとても大雑把に書くと、
「製版」は、紙への印刷のための「ハンコ」を作る作業
「印刷」は、紙にインクで「ハンコ」を押す作業
「製本」は、印刷された紙をまとめて、「本」の形にする作業
です。

この共同印刷さんの本社では、主に「製版」と「印刷」を
見せていただきました。
「製本」は、やはり同社で別の場所に工場があり、
そこで行われているそうです。

自分は、いままでは、「製版屋さん」と「印刷屋さん」が
別々にある仕組みでの仕事が多かったので、大きな印刷会社さんでは
このように「製版」もひとつの部署として存在している、ということがまず
驚きでした。
何も知らなかった・・・

印刷所の建物は広大です。

印刷所外観

建物の多くは戦前からのものだそうです。
軍の貨幣を印刷していたこともあり、
空襲の際には「軍事施設」として、爆撃対象になったそうです。


「製版」

一般の製版

実に多くの部署に別れていて、
それぞれの部署に行くために、長い距離を歩きます。
まずは、「製版」のための、色々な部署を見せていただきました。

「漫画の製版」は、それだけで独立している部署のようで、
漫画以外の「製版」はさらに細かい部署に別れているようです。

「製版」おける最初の作業、
「原稿の読み込み」、「(画像)分解」、「(画像)修正」といった作業を見せていただきます。

分解職場

ここが印刷所の方が「分解職場」と呼んでらした、
「スキャン(画像の読み込み)」
「(画像の)分解」
「(画像の)修正」
の部署です。
画面手前に、青いカバーのついた機械があります。
これが、ドラム式スキャナーです。

この、手に持ってらっしゃる筒にあわせて、

ドラム

原稿を巻き付ける感じでセットし、

ドラムをセット

作動させると、筒が回転して、「光学的」にスキャンを開始します。

スキャン中

画面の真ん中で、白く光っているのが、「スキャンしている光」です。
高解像度で読み取ります。
一枚あたり、数分以上が必要です。

このようにして、
「紙の原稿」や「印画紙の写真」といった「曲げられるもの」は、
筒に巻いて読み取ります。
また、漫画家さんがイラストを描くときや、イラストレーターさんがよく使われる、
イラストボードのような、厚みのある、「曲げられないもの」は、
フラットヘッドスキャナーで読み込みます。

平面スキャナ

これは、家庭用のスキャナーや、あるいはコピー機の読み取り面と同じく、
厚みのあるモノをガラス面に置いて読み込む、その高性能なモノ、と考えて下さい。
業務用の高性能機なので、とても高いお値段らしい・・・

そしてさらに我々は、オソロシーものを見てしまいました。


分解・修正

おそろしいもの・・・いや、驚くべきもの、と言い直しましょう。

読み込んだ原稿やイラストや写真は、印刷時の「見栄え」を考えて、
コンピュータ上で、手作業で「修正」をします。
修正には、フォトショップというソフトを使用します。

こんな風に、

鈴木さん

スポーツ選手のスズキさんの画像が、暗めなので
修正しましょう・・・

鈴木さんアップ

で、左の写真を、右のように明るくする・・・といった作業なら、
平熱で、
「ふんふん、なるほど・・・」と
見ていられます。

あるいは、通販のカタログで、
モデルさんの持っている「商品」の色を、きちんと実物の印象に
近付けるために、注意を払って修正をしてゆく、という作業も
「ふんふん、なるほど」項目です。

通販カタログ

これも、左の暗い画像を、右のように明るくしつつ、
さらに通販の場合は、その「商品」の実物そのものがこの作業部署に持ち込まれて、
実物との色の比較をしながら、印刷された時に正しい色合いに見えるように
してゆくそうです。

地道で根気の必要な作業です。

感心していたら、「驚くべきこと」は、このあとに待っていた・・・


モデルさんの修正!!

モデルさん

このように、オペレーターさんの画面にドアップになって、
モデルさんのお肌を修正して行きます。

シワ、シミ、ほくろ、そばかす、はがれたファンデーションや、マスカラ・・・

モデルさんアップ

わかりすぎる写真を用いるとアレなので、この程度しかお見せ出来ませんが、
すでにひとつ前の写真よりも「おキレイ」になっているのが、おわかりでしょう。

さらに、

モデルさん目

充血した白目も、充血部分を白くして、キレイな白目にいたします。

モデルさんの全身、全貌をお見せすることが出来ませんが、
全身にわたってこの作業で「お化粧直し」がなされており、
驚きました。

こ・・・これは・・・
なんでも出来てしまうじゃないですか!?

漫画雑誌に載っている「水着写真」も、いや、あんな雑誌のあれもこれも・・・

オペレーターさんいわく、
「修正していない写真がそのまま印刷に使われる、ということは、もうほとんどないですね」

「我々に、“消せないもの”はありません。ただ、“無いもの”を写真の上に作ることは出来ないんですよね・・・」
・・・ふ、深い・・・・・・???

ああビックリしました。

しかし、じっくりと見せていただいた作業はまさに職人技でした。
世の中には、本や雑誌をはじめとして、当たり前のように「印刷物」があふれています。
その印刷物の、イラストや写真の一枚一枚にこのような心配りがされて、初めて
「不特定」そして「多数」の方に見てもらえるに足るクオリティのものが、
「当たり前のようにあふれる」ことが可能になるのです。

とりわけ、大都市にいれば、常に自分の眼に映るものに、
「ヒトの手が入っていない」ものを探す方が大変です。
あれも、これも、それも、全部、ヒトが作ったもの、送り出したもの、と
考えると・・・・・・すごいですね。


「漫画の製版」

そして漫画の製版です。
漫画の製版は、他の媒体と違って特殊な工程が多々あるので、
独立した
「漫画制作」部署として、存在しています。

また別の建物の、別のフロアに移動します。

全景

広いフロア・・・この数倍はある印象だと思って下さい。
ここが、漫画家さんが描かれ、編集者の手を経た原稿が、必ず
通り抜けることになる、「漫画の製版」の現場です。

さらにこのフロアで、それぞれの細かい作業が行われます。


手作業の写植

写植ロング

これはよく見ると、見慣れた作業です。

「写植貼り」

紙の漫画の原稿に、別の紙に印刷された(正しくは印画紙に焼かれて写真になった?)活字文字を、切り抜いて、貼り込んで行きます。

写植ヒキ

貼ってます。

写植ミドル

おお・・・
この、黄色い台紙の上の紙の、

写植アップ

このような写植文字を切り取って、
漫画の吹き出しの中に貼っていきます。
(一応、どの作品か特定しにくいようにはしてあります)

この作業は、漫画家さんの仕事場で、あるいは雑誌編集部で、
編集者さんがやっているのをみたことはあります。
漫画家さんの仕事場でそれを見る場合、
「かなり時間的にヤバい」
と考えて良いみたい・・・です。

切羽詰まっていなければ、こうやって、
印刷所さんや製版所さんでやってくださっている作業なのですね。

セリフひとつひとつ、フキダシひとつひとつ、丁寧に
手作業で貼っていくので、これもまた大変な作業です。

ここに関しては、コンピュータの存在しない、手作業です。
このあとで触れますが、この作業ももう、コンピュータ化もされているのですが、
今、この手作業とコンピュータの作業の比率は、五分五分くらいだそうです。
自分の感覚としては、
「まだ手作業が、半分くらいはあるのか・・・?」といった感じです。

この作業を行っている背面で、
その「写植シート」のための文字を入力する作業が行われています。

ネーム起こし

このように、オペレーターさんが、編集者さんから送られてきた

ネームアップ

ネーム・・・ネームを見てますよ、これ・・・・・・!!!

うぎゃー!!

漫画家さん手書きのネームのコピー(またはファクス)に、編集さんが赤の指定を
入れたモノを、オペレーターさんが読み、そのまま入力していきます。

自分の描いた、“あの”読みにくいネームも、こうやってこのまま
編集者以外のどなたかにも、仕事として目を通されているのか・・・と思うと、
ちょっとめまいがしてきました。

きったない、読みにくい字で、ゴメンナサイ。

そういえば昔、お師匠が、ご自分のネームを指して、
「オレの字は、きたないけど読みやすいんだよ!!」という名(迷)言を
残されましたが・・・ええ・・・ヒトによって違うかもしれませんが、
きたなかろうと、読みやすいといいですね、こうなると。


作業の進行/確認

作業は、日勤と夜勤で、フルタイム対応で
進めて下さっています。

フロアの随所に、

進行1

こういった棚や、

進行2

あるいはホワイトボードに

進行ボード

このようなチェックがされていきます。
便宜的に少しボカしたのは、雑誌名です。
週刊誌や月刊誌が、混在しています。

その右に、「数字」があります。
これは、「折(おり)」の、通し番号です。

「折」というのは、本を構成する「単位」です。
16ページを「ひとおり」とします。
「ひとおり」が「16ページ」なのは、このあとお見せする、印刷の物理的理由による数字です。

たとえば、標準的な400ページほどの週刊漫画雑誌ですと、
384ページとすると、

16ページ×24折=384ページ

となります。
全部で24折、作り上げる必要があります。

これもあとで説明しますが、
その「ひと折」の中の16ページ分は、1ページでも欠けていると、
次の「印刷の工程」に回せません。
16ページ、きちんと無いと、先に進まないのです。
その16ページが、ひとりの作家さんが描いた、ひとつの作品で収まる
16ページであれば、進行管理はまだ楽ですが、
そううまくは行きません。

多くの「ひと折」は、複数の作家さんの、複数の作品で構成されています。
もしかすると、4コマ漫画や、短い作品や、記事モノ等が入り、
多くの記事、作品が混在するかもしれません。
それを、「ひと折」のなかで、できるだけ無駄のないタイミングで
「入稿(“にゅうこう”/原稿を製版に回せる状態に)」し、「製版」し、
スケジュールを守って本/雑誌にしなければなりません。

その、「ひと折」「ひと折」を、このようにチェックしながら
進行管理しているわけです。

このボード。
また、消してあるのは漫画の作品名です。
その作品名の右側に、

進行ボード2

「入稿済」とか
「~9折分 昼過ぎ~夕方?」とか
「夕方?」とか
書いてあります。
これは、その原稿が、その時間くらいに
入ってくるだろう、
入ってくるはずだ!
入ってきてほしい!!
・・・という、予測と希望と祈りのホワイトボードです。

印刷所さんが、編集さんとやりとりをし、
どれだけ原稿の仕事の上がりを祈り、信じ、予測し、
最前をつくした進行管理を作ってみても、
・・・考えて下さい。
その「仕事の上がりを信じたい」先で、今、まさに仕事をしているのは、・・・・・・ああ、

漫画家!!!!

おなか痛い・・・


電子的製版

さきほどご覧いただいた、文字の写植を貼る作業、そして、
製版の大元のデータを作る作業は、現在は
コンピューター上で可能です。

共同印刷さんでは、「コミックパッカー」という自社システムを開発し、
使用しているそうです。
これは、アドビ社の「インデザイン」という、製版のためのアプリケーションを
ベースとしたシステムだということです。

作業の様子を見せていただきました。

インデザイン

見たことある作品で、わかりやすい。
ありがとうございます。

インデザイン2

ネームの「文字」が、漫画の画像の脇に見えると思います。
これを、フキダシの中に簡単に配置してゆくことが出来ます。

デジタルですので、大きさや、配置の具合が自由に変更出来ます。
また、紙の写植ですと、誤字があった場合には物理的に「焼き直し」をしなければ
なりませんが、それもデジタルならば不要です。

このコンピュータ上の作業において、文字を置く作業の他に、
「面付け」と言われる、「印刷される紙の上に、原稿をどのような位置で配するか」という
細かい作業も行います。

物理的な「写植」にしても、
コンピュータ上でのテキスト配置にしても、
各出版社、各雑誌で、文字の「書体」や「大きさ」、
「句読点を入れるか入れないか」といった、色々な基本の
決めごとがあります。

写植指定

このような「仕様書」が、それぞれ存在して、各社/各雑誌の
決まりの中で、文字が打たれます。


校了に向かう

さて、こうして、「組版(くみはん)」と「製版(せいはん)」にあたる
作業が進んで行きます。

この作業の間のいくつかの段階で、「試しにプリント」したものが「校了紙」として
編集者に渡されます。
「出稿(しゅっこう)」といいます。

知っている光景ですと、
印刷所さんや製版所さんのかたが、雑誌の編集部に、
定期的に(おそらく1日に何回も)「校了紙」を届けに来ます。
編集者は、その校了紙を見ながら、ネームの誤字脱字が無いかをチェックします。
そのチェックを「校正」と言います。

編集部レベルでの校了チェック=校正は、間違いが発生しないように、
通常は複数人で行います。

(ここで、付記的に、作者以外の、編集者はじめ何者かがネームを
勝手に直す悪習に関して書き始めたら、怒りのあまり
またもやとても長くなってしまったので、別に項目を設けます。
本エントリーの上にアップしてあります)

さて、「校正」を行った校了紙を、再度、印刷所/製版所に
「入稿(にゅうこう)」します。

単行本や漫画以外の出版物は、複数回の「出稿」「入稿」を繰り返し、
間違いが生じないようにしますが、漫画雑誌の場合は時間が限られていることもあり、
いちどもしくは2回程度のやりとりで、最終的な入稿になることが多いようです。

「最終校了」が終われば、
「製版」の作業が完了し、
「下版(げはん)」となります。

「下版」とは、印刷のための「ハンコ」を作る作業に、「版」を回すことを言います。

印刷のための「ハンコ」を作る作業を「刷版(さっぱん)」と言います。
「刷版」の後に「版」を修正する作業はたいへんな手間がかかるため、
「下版」前に、入念なチェックが必要です。
「校了」のための「校正」が大切なのは、そうしたことによります。


「刷版(さっぱん)」/印刷用の「ハンコ」を作る

取材以前に、
「出稿」「入稿」「校了」「印刷」と、印刷プロセスの色々な言葉を聞いていて、
漠然と理解したつもりのことも多かったのですが、実際問題として、
自分が「画」を入れた漫画原稿に、「ネーム」としての「文字」が乗り、
そのあと・・・どのようにして印刷されるのか? という、
「物理的なリアリティ」が、実は、無いままでした。

見ましたよ。 

漫画の「ハンコ」を。

これです。

活版

この、デスクマットみたいな黄色いのは、「樹脂のシート」なのですが、
これを広げると・・・

活版広げ

わかるでしょうか?
これが、
「漫画のハンコ」
です。

この「ハンコ」を作る作業を「刷版(さっぱん)」と言うそうです。

また別の部屋に案内されます。

樹脂版室

「樹脂版室」

版室アップ

中に入ると・・・

弐号機

樹脂刷版マシン!!

「弐号機」!!
「正規実戦型」(すみません)
この巨大機械で、先ほどからお見せしている、

版の山

この神々しいデスクマット、じゃない、漫画のハンコを作るのです。
「製版」のためのチェックが終了した「版下」は、
このように、

製版フィルム

フィルムに焼かれます。
このフィルムを、つるつるの柔らかい樹脂のシートに合わせます。
この、黄色い、美味しそうな色のロールが、つるつる樹脂です。

樹脂ロール

その、フィルムを重ねた樹脂に紫外線を照射すると、
紫外線が透過して、直接樹脂に当たった箇所は
固くなり、そうでない所は洗浄されると「凹」になる。
それで、凹凸が出来る、ということらしいです。

フィルムをセットします。

フィルムセット

要は、フィルムカメラと同じ原理です。

さて、このプロセスは、写真ではなく、
撮影した動画をアップしてみました。
トリミングしたり、字幕を入れたり、
馴れないことをやったものだから、
無駄に時間がかかりました。

ユーチューブに自分が動画投稿をするとも思わなかったし、
初投稿が、こんな動画になるとは・・・



ご視聴ありがとうございます。
BGMに、「ヱヴァンゲリヲン」の音楽を乗せようかどうか、
最後まで逡巡したのですが、ギリギリの理性でやめました。

・・・とまあ、こんなわけで、
「漫画のハンコ」が出来ます。

画像の字幕に書いたように、
1枚のハンコで、50万枚ほど、印刷出来るらしいです。

例えば「少年ジャンプ」的な発行部数だと、
この「ハンコ」が、同じモノが5枚10枚、必要になるわけですね。

冒頭に書いたように、この「ハンコ」が、片面8ページ分、つまり
紙の両面に印刷すると、計16ページ分になります。
それを「ひと折」と呼ぶわけです。

こののち、これを、「印刷機」にセットして、
ハンコを押し続ける作業、つまり「印刷」をします。

印刷のプロセスは、追記でここにこのあと、
アップしようかと考えています。
お待ち下さい。


ひとつの「折(おり)」を作るために、こうしたプロセスがあります。
この一枚の「折」の紙を、
折って、切って、重ねて、閉じて、そして「本」になります。

例えば週刊連載であれば、漫画家さんも、1週間をフルに使って
1本の作品を描きます。

けれど、印刷会社さんは、1号の漫画週刊誌のために、
1週間以上の時間をかけて、この作業を繰り返し、本を完成させています。

この取材記の冒頭に書いた、
「漫画家さんが、原稿のアップを、みんな同じようなギリギリにしたら・・・」という
話は、ですので、大変困ったことになるわけです。

原稿が、漫画家さんの手を離れてから、ここでご紹介した、
大変なプロセスを経て、紙の本は産まれます。

今まで、何となく、
「漫画原稿を手放したあと、色んな人が関わってくれているのだろうな・・・」と
想像はしていましたが、想像力はまったく及んでいませんでした。

取材見学をさせていただいて、とても良かったです。

よく、編集さんも編集さんで、漫画家さんが「原稿アップ後」のプロセスを
知らないことを不便がっています。
思うのですが、漫画家になりたい人、漫画家になった人は、この、ご紹介したような
皆さんのお仕事を、見学出来る機会をつくってもらうとよいように思います。
そうすれば、漫画家以外の、「商業漫画づくりに関わる多くの人」が
いらっしゃることに、想像力が及ぶのではないかと思います。
それは、悪いことではないと思うのですけどね。

ただ、あんまり多くの方がしょっちゅう見学にくると、印刷会社さんも
きっと大変です。
今回も、取材に合わせて、沢山の部署で作業をストップして
待っていただいて、おそらく大変な心配りをしていただきました。

共同印刷さんの、各部署の皆さま。
大切なお仕事の手を、止めてしまったこと、申し訳ありません。
大変勉強になりました。
ありがとうございました。

・・・というわけで、多くの人がしょっちゅう「見学」というわけにも
いかないでしょうから、そのプロセスの一端でも、自分が見てきたものを
このようにご紹介して、皆さんが、「紙の本ができるまで」のことを知っていただく
一助になればと願い、この取材記を記しました。

読んでいただき、ありがとうございました。

一気に書いたので、不備多し。
このエントリー、随時追記しつつ、
改稿します。


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継続中。長い長い。「第0章」よりどうぞ。下に目次一覧もあります。

  

「漫画家のなり方」
  目次一覧

第0章 はじめに

/その1 「漫画家のなり方」を書くことについて

/その2 もうひとつの 本論の執筆動機



第1章 漫画雑誌の終焉

/その1 漫画雑誌はもう・・・


/その2 なぜ雑誌をなくせないのか

/その3 漫画雑誌が果たしていた役割
//1 雑誌で必ず毎回新作漫画が読めた
//2 漫画の週刊生産は困難なのか?

//3 漫画家に締め切りを与えることができた
//4 編集者自身が果たしていた役割
//5 デザインや製版 もろもろの作業のコストと労力を雑誌が負ってくれていた
//6 作画アシスタントの紹介をしてもらえた

/その4 漫画に必要な様々なことをどのように確保するのか


第2章 「紙の雑誌に代わるもの」の可能性

/その1 「インターネット」「ウェブ」というシステムについて

/その2 既存の大企業がうまくいっていないようにみえること

/その3 インターネットは個人のメディア そして漫画も



第3章 制作費や原稿料や著作権や契約書のこと

/その1 原稿料は 漫画の制作費なのか?
//1 制作にかかるお金
//2 原稿料とは? その他必要なお金のことも
//3 誰も 「原稿料だけではやっていけない」と教えてくれなかった
//4 「二次使用」で得られる(かもしれない)お金


/その2 漫画の制作費は どこがどのように出すのか?

/その3 「契約書」には しっかりと目を通して下さい

/その4 著作権の知識を身につけましょう

/その5 ならば漫画はもう分業でもよいか?


第4章 再度 本論執筆にあたり

/その1 「無駄に過ぎ去る日々」と「なんとか積み重なる日々」の違いについて

/その2 漫画家になりたいのに、なれない人が多すぎる
//1 なにかが間違っているのではないか?
//2 余裕あんなぁ みんな/「才能神話」に飛び蹴りを


/その3 「姿勢」について 技術論以外のすべてのこと

/その4 キミには才能はある! あとはモノを考えるだけ

/その5 漫画家になりたいと思う前提として


第5章 “漫画家”になるのか、“漫画を好き”でいるのか

/その1 漫画を好きでいるための みっつの方法

/その2 ひとつめの方法 読者でいること

/その3 ふたつめの方法 趣味で漫画を描くこと


/その4 漫画家の定義

/その5 みっつめの方法 漫画家になる とりあえずおすすめできません

/その6 それでも“漫画家になりたい”と思ってしまった人へ



第6章 技術論としてのおすすめ文献 10プラス1
/1 「マンガの創り方 誰も教えなかったプロのストーリーづくり」
/2 「石ノ森章太郎のマンガ家入門」
/3 「快描教室 マンガの悩みを一刀両断!!」ほか 菅野 博士(菅野 博之)さんの漫画技術関係の著作
/4 「ベストセラー小説の書き方」
/5 「書きたい!書けない!なぜだろう? 」(夢を語る技術シリーズ)
/6「ファンタジーの文法 物語創作法入門」 (ちくま文庫) 著者/ジャンニ・ロダーリ 窪田 富男(訳)
/7 「映像の原則 ビギナーからプロまでのコンテ主義」(キネ旬ムック) (単行本)
/8 宮崎駿さんの絵コンテ
/9 「新インナーゲーム 心で勝つ!集中の科学」
/10 本論「漫画家のなり方」
/11 あらゆる長編ストーリー漫画単行本の第1巻と長編ストーリー漫画作家の読み切り漫画の短編集
/12 文献を読んでいただくにあたって


第7章 漫画家に なりたい人 なる人 なれない人 ならない人

/その1 なりたい人

/その2 「本当に苦しい」段階を経て、「なる人」になります


/その3 漫画家になれない人
//1 あいさつが出来ない 目を見て話が出来ない
//2 知識の多さだけで自信をもってしまっている
//3 批判することで自己形成してしまっている
//4 手数より口数が多くなっている

//5 ブログで、好き勝手に「ネガ」をひけらかしている
//6 漫画以外の「好きなこと」をひけらかしている
//7 「タダでもいいから載せて欲しい」と言ってしまう その発想は地獄の門の入り口 それを口にしてしまうことは仕事をする者として万死に値する
//8 プロですらないのに「自分がやりたいのはこのジャンルだけ」と言ってしまう


~インターミッション~
/著作権の文献 ご紹介


//9 明日もやはり描かない
//10 こんなに描いたのになぜダメなんだ、と言ってしまう
//11 例えば、絵がうまい 絵がうまいだけ
//12 昨日/先月/去年を思い返してみて、何にも変わっていない

//13 何にも変わっていないことを、自分以外の何かのせいにしてしまう
//14 感情をあらわにしすぎる
//15 やせ我慢が出来ない
//16 「こんなこと、漫画家になれるかどうかとは関係ないでしょ!?」と思ってしまう 口にしてしまう
//17 「わかってるよ そんなこと」と思ってしまう 口にしてしまう
//18 “載らないと死んでしまう、読んでもらえないと生きてゆけない” というわけではない人


/その4 ならない人

/その5 年齢について


第8章 最初の漫画 最初の1作を描いてみる

/その1 とにかく描き上げる

/その2 嵐のように襲い来る、万能感と無力感

/その3 恐怖 「描き上げたくない病」


/その4 誰も言っていないのに、勝手にダメだとか言わない

/その5 完成 おめでとう!

/その6 ホントにその第1作目の漫画は、素晴らしい。ステキです。

/その7 他人に見せる 出版社、漫画雑誌編集部に持ってゆく


/その8 編集者のどんな対応にもビックリしない

/その9 そのまま雑誌に載る場合

/その10 何作か描いて、雑誌に載る場合


/その11 付記 「ネーム」とは?


第9章 最初に雑誌に載るまで

/その1 編集者とのやり取りが再度始まる

/その2 自分の中の「よいイメージ」を絶対に守り通す

/その3 よい打ち合わせとは?

/その4 打ち合わせを何となく持ち帰らない

/その5 直せと言われたら、その場ででも直すつもりで


/その6 編集者とのやりとり しっかりね

/その7 感情を荒げる利点は少ない

/その8 転んだ時にタダで起き上がっていては 死にます

/その9 ここでも嵐のように襲い来る、万能感と無力感

/その10 雑誌に掲載されていることをイメージする

/その11 ここでも、とにかく描き上げる


/その12 最初に雑誌に載る、いくつかのパターン そのことにどうしても言及したい いくつかも含めて

インターミッション 2
/デジタルとコンピュータのこと おすすめの本


インターミッション 3
/良い本が どんどん在庫切れや絶版だ 絶句



第10章 雑誌に1本載った ここから先に進む時の覚悟

/その1 まだ、本論の定義での「プロ」ではありません

/その2 ブログ 連絡手段の必須として


/その3 喜んで席を譲る連載作家はいません サバイバルだぜ

/その4 速く たくさん 描くことでしか手に入らないことがある

/その5 描きたいペース 描きたいスタイル


/その6 プロになって そののち10年後もプロでありたいかどうか

/その7 死守するものを定める


/その8 雑誌の枠内やジャンルの枠内で作風をつくってしまう危険について


第11章 プロになりたいと思う かどうか

/その1 自分の「名」で「生き死に」をしようと思うかどうか

/その2 「エンターテインメント」の、日本語訳 わかりますか?


/その3 読み手のために漫画に仕えることと それが自分のためであることの一致

/その4 不安なのは、みな、同じです


~インターミッション 4~

/その5 アシスタントについて またはプロ以前の時代について

/その6 “漫画家のアシスタント”は “不本意”だが“みじめ”ではない


/その7 付記 漫画家がアシスタントに手伝ってもらうということ


第12章 アシスタントの日々になすべきことについて

/その1 生きてその仕事場を出る


/その2 ものを考えましょう 人に自分を委ねてはならない

~インターミッション5 おすすめ文献 さらに~
/一冊目 「人体のしくみ」
/二冊目 「ブックデザイン」
/三冊目 「デザインの自然学」


/その3 いちど自分のいままでのスタイルがすべて崩れます ビックリしないように

/その4 モノとお金以外のすべてを盗む

/その5 漫画家さんの振る舞いの全ては参考になる とにかく学ぶ

/その6 他者の作品制作に全霊で仕え、力は使い切り、しかし疲れずに帰る

/その7 漫画/漫画雑誌をたくさん読む 好き嫌いや批判を脇において

/その8 仕事場で我を出さない 感情で仕事場の空気を揺らさない その仕事場の空気はタダじゃねえぞ

/その9 自分の不満の表明のためにふてくされてはならない

/その10 人の漫画の手伝いをして、漫画を描いた気にならないようにする

/その11 仕事の合間は「お休み」ではないです 漫画を描く 描く準備をする

/その12 月に2本以上ネームを描いてください

/その13 漫画家は、ホームを通過する特急電車 アシスタントはホームに立つ人

/その14「引き出しを増やす」のウソ 脳の「インプット」と「アウトプット」について

/その15 代案を出せて初めて「批判」と言える

/その16 否定の言葉でしゃべらない タメ息などつかない しゃべりすぎて気持ちよくなっちゃったらいけない

/その17 自分を大きく見せてもしかたない(尊大さのワナに気をつける)

/その18 自己卑下のワナに気をつける(小さく見せてもしかたない)

/その19 編集者/雑誌/読み手をバカにした時点で、バカは自分です

/その20 テレビが「表現媒体」ではなく「広告」であることについて

/その21 幸せそうな人を 「幸せそうでいいよね」と思う想像力の欠如と決別する

/その22 死なない程度に、たくさん恥をかき、傷付いていい

/その23 アシスタント時代に太ったりやせたり眠れなくなったり腰痛になったり 心や体を悪くしている場合ではないです

/その24 目くそ鼻くそ同士でギスギスしない

/その25 アシスタント仲間をライバルにしない 仮想敵は少し高めに設定する

/その26 アシスタント仲間を戦友にする 孤立してはならない

/その27 「プロのアシスタント」について

/その28 漫画家の重力 人の仕事場の引力

/その29 漫画家の寝首を掻く(ホントに殺しちゃダメだよ)

/その30 いま 「どうぞ連載を」と言われたら 自分自身のようなスタッフに手伝ってもらって 月に1本 週に1本 漫画原稿を仕上げられますか?

/その31 いま描いている漫画やネームは そのまま雑誌に載って 他の作品と渡り合えますか?

/その32 少し余談 今だからこう書ける 許してあげて欲しい「漫画家の挙動不審」あれこれ

/その33 仕事場を辞めること あ、それから、お金ありますか?


第13章 絶対に漫画家になれる「漫画家のなり方」教えちゃいます


番外編 印刷会社さんに「社会科見学」(また長文です)

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