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一色登希彦 ブログ / 三重県の小さな町に在住 現在は飲食店に従事 漫画描いてました

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「漫画家のなり方」75

第12章 アシスタントの日々になすべきことについて

   その32 少し余談 今だからこう書ける 許してあげて欲しい「漫画家の挙動不審」あれこれ

長い年月、プロを続けている漫画家さんは、概してしっかりしたひとが多い、というのが、自分の意見です。

それでもやはり、身とココロを削る、ずいぶん無茶な毎日を送ることもあって、
「冗談か?」
と思える挙動不審、おぼつかない言動、理不尽すれすれ、が、多々あります。


おそらく、漫画家さんには共通項目の多かろうことを書きます。
これらのことは、漫画家になってみると、
「許してあげて下さいな」「無理もないです」
と、ようやく思えることなのですが、アシスタントの立場から見ると、なかなか理不尽なことばかりです。願わくは、
「許してあげて下さいな」、すみません。

      1 ひとりごと。
ネーム考えていたり、作画をしていると、ホントに物語の世界に行ってしまいます。
ひとりごとに見えますが、「おはなし」の誰かや何かと、おはなしをしているだけなので、気にしないであげて下さい。本当です。

      2 ためいき。舌打ち。
みなさんに「もってのほか」といっておいて恐縮ですが、これも、うっかり「あちらの世界」からこんにちは、で、やってしまいます。漫画家さんだけは、大目に見てやって下さい。
スタッフの皆様におかれましては、「自分のことか?!」と思う必要はございません。気にしないであげて下さい。漫画家さん自身のことか、あっちの世界でのハナシにため息や舌打ちをしているのだと思われます。

逆に、スタッフさんのため息や舌打ちをやめて欲しいと述べることにも理由はあります。
ため息や舌打ちをするほどに、仕事の責任を背負い込む必要もなければ、焦る必要もないからです。仕事は平熱でやれば良いです。
向上心は必須ですが、その瞬間、下手だったり、仕事が遅かったりすることに対して、スタッフ本人に責任はありません。それは漫画家さんが責任を負っていることです。必要なことは、教え、伝え、お願いし、ことによっては怒り、スタッフさんの能力を「使う」のは、漫画家さんの全権です。
ですので、自分の仕事が未熟であることに関しては、ため息や舌打ちのようなココロになる必要はありませんし、なるべきではありません。向上心を持ち続け、上達を目指すことだけに集中すればよいです。
どうしてもそれがうまくいかないなら、手を尽くした上で、その仕事場を見限って良いです。

      3 リテイクの嵐。そして怒る。
漫画家さんの指定通り描いているつもりでも、やはりリテイクは食らいます。原則的に、漫画家さんの指定したものに、100%応えることは不可能です。不可能であった方がよいです。
そのなかで、どれだけ100%に近付けるのかが仕事なので、そこは勤しむべきですが、リテイクが出るのは仕方ありません。
下描きの鉛筆線を無情にもゴシゴシ消されると、なんだかそこまでの作業がすべて否定された気持ちになります。
休憩でゴハンに出かけて帰ってきたり、翌日仕事に来たりすると、自分の描いたパートがすっかり描き直されていたりします。
そして、それも含めて、怒られることもありましょう。
すべて、「自分の人格そのものが否定されているわけではない」ということをしっかりと念頭に置いて下さい。ぐだぐだになると、それを見失ってしまい、がっかりしやすくなります。
また理不尽なことに、がっかりすると、指示する側がカチンとくるのですよ。
「シュンとするなよ!」という思いが、怒りに付与されることになってしまい、漫画家さんもスタッフさんも悪循環です。
漫画家、スタッフ、ともに難しいことを抱えるのですが、「平熱」で、仕事としてやり取りをすることが大切です。

ココロまで「しゅん」とされると、余計にハラが立つ感じは、文章を書いていて思い出してきました。
自己存在の否定の意図などはないのです。
なすべきは、平熱の仕事のやりとり、なのです。
ふてくされたり、シュンとしたりの、振り幅の大きい反応は、双方の未熟によります。意識的になれば、防げます。

      4 自分の言ったことを忘れる。人から言われたことを忘れる。
ごめんなさい。
どうしたんだ? 謝ってばかりだな。
ホンッとに、忘れちゃうんですよ。
脳の機能に問題があるとしか思えない忘れ方をします。さすがにヤバいと気付く人は、予定を例えばメモしたりします。
いずれにせよ、そんなわけで、優先順位の上位に来ない事柄は、冗談のように忘れてしまいます。

      5 自分の描いた漫画のネーム、描いた漫画そのものを忘れる。
これも、プロになるまでは、信じられなかったことです。
新人のころは、自分の漫画のネームの、一字一句を覚えいてたりしますよね?
自分もそうでした。
プロになると忘れます。あまりに仕事量が多いので、描いたそばから忘れます。
これ、自分の作品に愛情や思い入れがない、ということと勘違いしないで下さい。
異常な執着心で生み出し、瞬く間に切り離して、世に送り出し、その時にはもう次の漫画を描いているので、どんどん忘れていくのです。
すげえ。
漫画家が特急列車、アシスタントはホームに立つ人、と言ったのは、こういうことです。
そんなわけで、たとえば、漫画家さんから仕事で回ってきた原稿に、ネームも兼ねていてエンピツ書きがしてあって、それをうっかり少し消してしまって、「すみません、ここのネーム、なんて書いてありましたか?」と聞くことになり、
「覚えてないよっ! 消しちゃったら思い出せるわけないよっ もう!」と怒られて
「ええ~~~消しちゃったのはゴメンナサイですが、覚えてないってこたないでしょ? いやがらせ?」とか思わないよう、お願いいたします。
覚えてないのです、ホントに。

      6 その日の仕事場解散のあと、色々仕事場のための準備をしていたのに、「まだいるのか! とっとと帰りなさい!」と怒られる。
だんだん項目が「個別的な思い出」みたいな感じになってきた?
えーと、怒られたことがありました。はい。
仕事解散したあと、次回までのための原稿用紙の準備とか、色々していたのです。「なんだよ良かれと思ってやっていたのに」と泣きそうになって我々は、盗んだバイク(うそ)で走り出して行く先もわからぬままファミレスにしけこんでへこんだ気持ちをなぐさめあったりしました。
解散、と宣言するとですね、漫画家さんは、気持ち的にも、ひとりになりたい、ひとりですすめたい仕事がまだあってその時間を待ってる、ということがほとんどで、それは、一刻も早く、引き上げて欲しいのかもしれません。
反面、「なにとっとと潮が引くように帰っちゃうんだよ、さびしいっちゅーの」と思う漫画家さんもいるようで、
これはいずれにせよ理不尽ですね・・・付き合える範囲で、甘んじて下さい。

      7 予定の日時に仕事が始まらない。
ごめんなさい。ふざけているわけではないのです。まだ出来ないんだよ・・・。

      8 変な体操をする。
昔笑っていたら、今、自分が同じことをしています。
健康法なんです。健康法。

と、まあ、理不尽に見えることは多く、さらに色々、もっとあります。
いずれも、「まあ、しょうがないか」とできるだけ平熱でかわしてくださるとありがたいです。

漫画家さんによっては、余裕の有る無しにやはり差があります。
上に挙げたようなことが、もしも冗談で済まないようなレベルになって、本当に苦しくなってきたら、迷わずにその場を離れて下さって構いません。

前章で描いたように、漫画家さんのアシスタントを務める時期というのは、新人さんにとって大変貴重な次期です。
漫画家の側も、もちろんスタッフに対して可能な限りの良い環境を築けるようにココロ砕くべきですが、その余裕の有る無しの度合いがあるのは仕方がないです。
大切な時期ですから、「本当にこれはダメだ、ここはダメだ」と思ったら、離れて構いません。
その場所を気持ちのよいモノに出来なかった、漫画家さんの責任です。
ただし、辞めたのなら、辞めたあとのことは辞めた自分の責任です。
その次どうするべきか。またどこかにアシスタントでお世話になるか?
それとももう、独学の道を探るか。

次章13章で書きますが、どんな道を選ぼうと、本当に漫画を描き続ければ、漫画家になれます。


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| 長期シリーズ/「漫画家のなり方」 | 08:13 | comments(-) | trackbacks:0 | TOP↑

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