一色登希彦/ブログ 

一色登希彦 ブログ / 三重県の小さな町に在住 現在は飲食店に従事 漫画描いてました

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おすすめ文献 ひとつにまとめていきますね

このエントリーに「おすすめ文献エントリー」はアップの都度、累積させて、サイドのリンクからつなげるようにしてみます。

今いちばんのおすすめはこちら
「映画を書くためにあなたがしなくてはならないこと」



禁止事項:買って満足して読み込まずおしまい


「プロの現場で使えるパース講座」



これ、Amazonのみに委託で販売されている「自費出版本」のようなので、売り切れたりしたら、ゴメンナサイ。
(何度か当ブログからのリンクで品切れをもたらしてしまっているので)

なんと、『Q.E.D. 証明終了』を描かれた漫画家さん、加藤 元浩さんがご自身で書き起こされ、自費出版なさったもの、です。
全編、漫画の形式で書かれている、「漫画を描くためのパース」に特化した、パース教本です。

内容の紹介は、加藤さんのサイトを見ていただき、サイト内の「パース講座について」「サンプル」といったあたりを参照していただければと思います。

少し前に、自分が作って漫画onWebにアップした「ネーム解説」の、パースに関わる項目、とりわけ

「パースとはカメラのレンズの種類と撮影者の立っている場所のことである」

という項目。
その点を、とても詳しく、丁寧に解説して下さっています。

「自分がさらに詳しくテキストを作るとしたら、こういうことがやりたかった!」

ということを、かなり理想的に実現して下さっています。

書かれている内容は、本来は、漫画家志望者であれば独学で身につけているべきこと、とも思います。
また、プロの漫画家の仕事場にアシスタントとして出向くのであれば、身に付けているべきとも思います。
ですが、加藤さんも本の中で書かれているように、これらの「基礎体力」が身に付いていない志望者さん/スタッフさんが多くなっている、というのは、自分だけが感じていた危惧ではないようです。

一方で加藤さんは、この問題は、「技術が身に付いていない」側だけの問題ではなく、教える側、伝える側のボキャブラリー不足の問題でもあるのではなかろうか、ということを、おっしゃっています。

本の冒頭に、そうした思いが綴られていて、「漫画のパースを身に付けるべき人と、教えるべき立場の人に向けて、共通言語を構築したい」という動機が、明瞭に、力強くあって、本の最後までそれがブレていません。

そうした理由で、この本は、自分も含めて「漫画のパースを教える側」で、どう教えたら良いのか困っている、という方にも、オススメします。

なによりも、超多忙なひとりの現役バリバリの漫画家さんが、さしたる得もない(と思う)のに、これだけの労力をかけて、1冊の自費出版本を作り上げたということに、最大級の尊敬と感謝の念をいだきます。
その労苦だけは想像がつきます。
この価格は真っ当だと思います。

今、書いてて思い至ったのですが、加藤さん、この本、紙版の在庫がなくなったら有料の電子配信をなさったらよいのではないでしょうか?
余談ですが。



漫画家の「体の使い方」/おすすめ文献

「漫画家になりたい」というのに、自分の身体への意識が低いなあみんな、と思うことが多くて、それをどんな風に言えば良いかと考えることが多いです。

また別のジャンルの専門書なのですけど、持論を交えてご紹介。



皆さん言っておきますけど、ここまでに紹介した本でも同じだが、買ってわかった気になっちゃうくらいなら、買わないほうが良いですよ。
一般論として書かれている内容を、切実に自分に置き換えて、血肉にして下さいね、ちゃんと。


さて。

「身体を鍛えるのが仕事のひとつだなんて、スポーツ選手とかでしょそういうの?」とでも思っているのかと言いたくなるくらいに、何だか自分の身体のことに意識が行っていない人が多いです。

漫画家が、自分の(他人のでもいいけど)身体に意識的であるべき理由は、

「仕事での健康維持の為」と
「自己の身体意識と描かれる作品は密接に関係がある為」です。

プロの漫画家さんがお読みかも知れません。
「何当たり前のこと言ってんすか?」と思われますか?
当たり前ですよね確かに。

でも、身近にいらっしゃることもあるかと思いますが、漫画家志望者さんをご覧になると、「身体意識低いなあ」と思われませんか?

「運動神経」の優劣じゃないですよ。「運動神経」は僕もからっきしです。

ツイッター読んでたら、作家さんの言葉として、
「ネームをやる時はネームの呼吸をしている」という意味の言葉がありました。

呼吸が上手ではないというか、浅い人がいて、そういう人のネームは、「浅い」です。
漫画の1ページあるいは見開きが、描く人読む人の「呼吸」にシンクロしているのだ、という感覚にもなかなか気付けないと思います。

そうしたことが、当たり前に肚に落ちない人は、ちょっと論にお付き合い下さい。
少しお金あったら、ご紹介した本なりお読みになり、「身体を意識して、コントロールする技術」があることを認識して、もう少しだけ「身体」に関心を持つと良いですよ。

この本は、歌手の為に、歌手専門のトレーナーのような職の方によって書かれています(だと思います)。
「ボディ・マッピング」という原語が使われていますが、日本語で言えば、「身体意識」で大きくは間違いでは無いと思います。

「歌手」を「漫画家」と置き換えて読むことが出来るなら、有意義です。

図入りの解説が多いです。
「背骨が実際に何処にあって、どの位置でどんな大きさをしているか」といったことや、
「内蔵の位置は?」
「横隔膜の位置は?どんな風に動いて、どんな風に呼吸がされるかわかりますか?」と言ったことが解説されています。

そうした中で、
「集中のしかた」や
「無駄の無い筋肉の使い方」が解説されます。

歌手に向けて書かれた本ですから、「声の出し方」の詳細も多く、「声帯の使い方」が多く載っていたりします。
これも、「右(左)手首」の使い方、に置き換えて読めるなら、この本は興味深く、有効な本だと思います。

「ノド(声帯)を痛めない歌い方」は、そのまま「手首を痛めない画の描き方」に援用できます。

線は、腰で描く。
手首や腕だけで描いていては、身体を痛めます。
腱鞘炎、肩凝り、腰痛。
これらは、すべてとは言い切れませんが、多分に、コントロール次第で防ぐことが出来ます。
お金に余裕があれば、マッサージや整体やリラクゼーションに頼れば良いけど、自分の身体管理をアウトソーシングに(=他者に)委ねることになるし、やはりコストが嵩むことになります。

身体意識を高く保っておくと、健康維持の能力も上がります。
どこまでは身体に無理をさせて、どういう風にメンテナンスすると良いか、という智慧が付きます。

少なくとも量的には「週刊連載」レベルの作業をしていても、自分は、身体は大丈夫でした。
肩凝り腰痛腱鞘炎といった困難は、自分で解消出来ていました。
逆に、皮肉じゃなく、能力の高い人は無理ができちゃって、大変だなあ、という様も、見ました。
「もうちょっとだけ気を配れば楽なのに・・・」
まあプロで各々の方法論でやってらっしゃる方には助言などおこがましいですし、失礼ですし、しようもないですが。
でも、漫画家志望の方なら、身体意識が高く、健康管理を継続的に出来るかどうかは、大きな利点になりますよ。

これが、「仕事での健康維持の為」の話です。

そしてもうひとつは、「自己の身体意識と描かれる作品は密接に関係がある為」ということです。

世界観や設定はわかったから(もちろん必要よ)、人間を描きなさい、ということが基本のはずなのに、身体意識が低いと、それが怠られます。

主人公ですら、お人形になっていて、ふわふわして、まだ「人間」になっていないのですよ。
デッサンを極めれば良い、ということでもありません。
ネームの中の、ラフな「まるちょん」が活き活きしていることからも、それはわかります。

自分自身が喜怒哀楽の感情を持って日々を過ごし、それが紙の上の「人間」に焼き付けられて、感情を吹き込むことが出来て、物語の中で生きて、それが一定量の読み手に淀みなく流れてゆく。

その循環が成立していないと、漫画家の身体は壊れます。時には、ココロが壊れる、という形になって、身体が壊れます。
不健全なことを含めてエネルギーにあふれる「世界」を描写して提示するのだから、そのエネルギーを通すフィルターである「身体」は健康でなければならない。
その用を為す可能性がある様々な薬物の方は法的に禁じられている以上、健康でいるのが懸命でしょう。

どんな漫画も、作者の身体感覚で描かれています。
そうでなければ、「その人でなければ描けない漫画」になるわけがありません。

身体を、ある意味「機械」のように考えて、正しく仕組みと部品を把握し、正しく操作する。
そういうことの手助けになる本です。

今回は、「モノとしてのカラダ」の本でしたが、
以前にご紹介しているこちらは、



「モノ(仕組み)としてのココロ」からひもといた、けれど最終的にはやはり「カラダの上手な使い方」のスポーツ理論書です。

今までにご紹介したおすすめの本一覧は、こちらからどうぞ。
「おすすめ文献 ひとつにまとめていきますね」

でも、本を買って、読んで、わかった気になってるだけじゃダメだよ!



これはもう

必読で。



お好きな方、ご興味お持ちの方、漫画家を目指す方、無条件おすすめです。

「紙かデジタルか?」なんて話、ホントは二の次なんだって思い出します。

/しますと、面白く、おすすめなのは藤田さんの語る言葉の部分です。失礼ではありますが、特集に添えられた他の皆さんの文章は、なんだか難しくて面倒くさくって(オレが言う・・・すみません)、読み出しましたが読みきりませんでした。

インタビュアーさんがつけたタイトルであろう「若き漫画描きに与ふる書」と題されたインタビュー(とあと荒川弘さんとの対談)が全てです。

インタビュー中に出てくる、藤田さんが沢山のことを教えてもらったという小学館の武者さんという編集さんは、僕の「日本沈没」でもお世話になった編集さんなのですが、確かに僕も多くのことを教えていただきました。そうした編集さんとの「漫画家志望時代」のやり取りの有意義なエピソードがあります。

また、映画「サマーウォーズ」への批判的雑感など(この映画を、好きでも嫌いでも良いんです。それはひとそれぞれで。)、全編まさに「若き漫画描き」、というか、

「漫画家志望者」、読んでくれ!

・・・というわけで、本エントリーのカテゴリーを、「漫画家のなり方」にし直します。

このインタビュ読んでくれて、血肉にしてくれたらもう、「漫画家のなり方」シリーズは無用だわ。

かつて漫画家と漫画編集者が信頼で結ばれていた「佳き時代」の、最後の瞬間のひとつの姿が、語られている気がします。

「漫画家のなり方」シリーズの中で僕は、「月に2回はネームを描いて編集者に見せに行くこと」と書きました。この回数は、実はかなり控えめにしていて、「ホントはもっと描かないとダメさ」というのが本音なのですが、藤田さんは見事に、

「僕は平均したら週に二回くらいは編集部にネームを持っていっていました。」

と言ってくださっています。(「月に二回」ではないです。「週に二回」です。書き間違いではないですよ。)

僕もそれくらいはしていました。そんなことが出来る時間があるのって、新人以前の、「志望者」時代にしかないってことを、「志望者」時代にはわからないんですよね。

とにかく色々おすすめです。

例によって、読んで何も(良くも悪くも)感ずる所の無い人は、漫画家になるの、向いてません。

お金が無いなら本屋さんで立ち読みでも許してもらいましょう。僕も昔、そうしてました。

是非。


「漫画家のなり方」インターミッション6
シナリオの技法書 本命

いちばん最初の「おすすめ文献」の項で、いちばん「王道」なハリウッド映画のシナリオの書き方の技法書を紹介しなかったのは、紹介したい本の新本が入手不能になっていたからでした。
「書きたい!書けない!なぜだろう?」 が、いちばん「シナリオ技法」の本ではありましたが、少し「キャラクター造形」ほかに寄ってて、「総合書」としては少し変化球度合いが高いのです。もちろんおすすめであることに変わりませんが)


もともとご紹介したかったのは、1冊目

 

1冊目の画像が無いですね。これです。

シナリオ入門

ご存知の方もいると思います。
もう20年近く前に、「別冊宝島」の1冊として出た本です。
セカンドハンドは何冊かあるけど、2000円台はなあ・・・と
思っていたら、21世紀の今、新刊本がようやく・・・ということで、ご紹介します。

「別冊宝島」版にも特別に思い入れがあるので、その話も含めて
とりあえず2冊ならべてご紹介しようと思います。
正確には、同じ著者ですが、同じ本ではないです。
が、自分の評価としては、どちらを読んでも
ほとんど得るものは同じと思うので、同じ本だとして扱います。

1冊目の「別冊宝島」の「シナリオ入門」が、当時どのような評価を受けていたか、
正しくは覚えていません。
ただ、アマゾンのレビューにあるように、
「ハリウッド映画の類型を、わかりやすく分析した」ものとして、興味深く読めます。

当時の、「漫画家志望」の自分にとっては、「踏み絵」のようなものでもありました。
「自意識過剰の偏屈もの」にとって、
ややもすればこう言う本は「唾棄すべきもの」だったりするわけです。

「そういうもの読むから、迎合したつまらないものになるんだよ」

わーわーわー!!

実際、自分がこの本を読み始めて、それを冷ややかに見ていた
「漫画家志望」仲間もいました。
「あーダメだね、そういうの読むようになっちゃ」
そうした人が今どうなったか、自分は知りません。
知らないってことは、どうもなってないのでしょう。

もちろん、ここまでいくつかの文献ご紹介をしていたときと同じように、
こうした本の内容を身につけないでも漫画家になれる人もいます。
また逆に、なりようのない人は、読んでも役にたちません。

自分は、役にたちました。

人の目は、好きなものへも嫌いなものへも色眼鏡が適用されるようで、
好きな作品に対しては、その尊さを祭り上げるあまり、
「自分が尊敬するあの人の、その才能で創られた、唯一無二のオリジナル」
だと思いたがるようです。

才能はあってあたりまえですが、その上に、
どれだけの模倣や訓練や研究や迎合(この言葉がマイナスイメージなのは、いつからなのだろう?)があるのかに、思いを至らせないようになってしまうのです。

この本を飲み込むことは、その「色眼鏡」を取り払うプロセスでした。

どんな作品も、優れていればいるほど、
模倣や訓練や研究や迎合(この言葉がマイナスイメージなのは、しかたないのかね?)が
練り込まれています。

「オリジナリティ」は、そうしたものの上に存在する。

この「シナリオ入門」は、そのことを教えてくれました。
ハリウッド映画が、そのシナリオが、いかに「絶対パターン」に基づいて
書き上げられているか、を教えてくれます。

それは、漫画が、いかに「視線誘導」の魔法に基づいて描き上げられているか、
ということと同じことです。

あまりにも明確に、「面白いシナリオとは、こういう約束事の上に成り立っている」と
言い切られてしまうものだから、そしてそれが当たっているように見えるから、
かなり戸惑いました。
しかし、
「例外」があって、自分でそれを生み出せて提示できるなら、その時にそれを
生み出せばよいではないか・・・と考え、とにかくこの本の教える「シナリオの書き方」を
身につけようとしました。

「別冊宝島」の、その「シナリオ入門」を、(物理的に)分解してですね、
コピーしたり、インデックスを貼付けたりしてですね、
不要なところは捨てて、自分で構成し直して、
さらに思い付いたときには自分で加筆したりして、

気が付いたら、
「漫画(ネーム)の描き方」が出来上がっていました。

初公開、一色版「漫画(ネーム)の描き方」第1部/第2部

一色版漫画の描き方

今読み返したけど、面白かった。
見たい人いないか!? いない?
これが出来上がって、そのすべてを自分の血肉にしたとき、漫画家になってました。

こういうことやってみるのが好きなので、自分は形にしてみましたが、
やってみてわかったのは、プロの漫画家さんは、こうしたことを、
形にするかはともかく、みなさん絶対に身につけている、ということです。
「あのときプロの漫画家さんに言われたことは、こういうことだったのか!!」という
ことばかりです。

なんとなく、才能で描いていたら、何本か漫画を描けて、でも、それで終わりです。
そののちは、ノウハウの構築を経験で裏付けして、キャリアを積むことです。

ご紹介した「シナリオ入門」は、それを教えてくれました。

本に書いてあることを鵜呑みにしたらいけませんよ。

何度も申し上げているように、批評的に噛み砕いて、自分のモノにして下さい。

そして、こうしたことに対して、
「なにやってんの? こんなことしなくても漫画家になれる」
と、100%断言することが出来るのは、
今、そんなことしなくても漫画家になって、現在ご活躍のかた、だけです。

ならば、何でもトライしてみませんか?


で、冒頭にご紹介した、実質的には同じ内容の2冊の本、入手されるとしたら、
どちらがよいのでしょうか?

「別冊宝島」版が、定価であった1000円以下、だったら、それも良いかと思います。
雑に扱って、自分のように、書き込んで分解して再構成して、
「漫画の描き方」に改変してしまう、くらいに使えたら良いですね。

しかしやはり新刊が出た今、こちらをおすすめします。



「映画を書くためにあなたがしなくてはならないこと」
どちらを買っても2000円台、なら、この新刊を世に出して下さった版元さんの
出された新刊にお金を出すのが「正しい循環」です。

新刊の原本は、版を重ね、改訂され続け、その「2005年版」を元に訳されています。
最近のヒット作や話題作がひもとかれていて、その点でも親しみを感じやすいです。
(「別冊宝島」はなにしろ20年以上前の版です)

両方の本を読み返し、気付いたのは、どちらも、
「これからの人」を愛し、励ましてくれている度合いがハンパではない点です。
この著者のいちばん素晴らしい点は、実はここかもしれない。
「ダメだって思う必要はないから」
「みんな、苦しんでいるから」
と、励ましてくれるのです。

そして、
「苦しい時にどうすればいいか」も、
細かく教えてくれています。

今思えば、その時、目の前でお世話になっている漫画家さんも言ってくれていたことではあります。

しかし加えて、本の向こう、地球の反対側から、
「キミはひとりではない」と語りかけてくれる「存在」がある。
その証拠として、本当に上達する方法を余すことなく書き記し、教えてくれています。
そういう存在と巡り会えたのは、大きかった。

生身の恩人は別にいるとしても、
「書物の恩人」は、自分にとってはこの本がその大きな1冊です。

新刊本としては、いちばんにおすすめしたい本を、おくればせながら。


この、上等の製本の本を買って、分解して、書き込んで、再構成して、自分のための
1冊を作ってみますか?

「漫画を描くために自分がしなくてはならないこと」

僕がやれたのだから、キミにもできるはずだ。
そして、できた時には漫画家になっているはずだ。

感じるな! 考えまくれ!



「漫画家のなり方」インターミッション5 おすすめ文献 さらに
これいきましょう

   


一冊目 「人体のしくみ」

この手の本も、多く出ています。
その中でこの本が出色だと思うのは、著者の方の「センス」の良さ、
信頼出来る「身体感覚」が感じられること、です。

しばしば、運動神経が無さそうな著者が、「人体デッサン」の指南とかしていて
がっかりする本もある中、この本は優れています。

この著者のかた、体を動かすのが好きなのではないでしょうか?

これは、本来は、3DCGを仕事にするかたに向けた、指南書なのかもしれません。

CGということとは関係無しに、漫画のためになる人体の把握の仕方、
立体としての人体の描き方、を、的確に解説している本です。

本文は、体の各パーツをわけて、そのパーツごとに詳しく解説しています。
体のパーツを個別に理解してゆく時に、大変有効です。

そして、CGであることが、ひとつのキモだと思います
「CGで語られる人体」は、ややもすると、「肩や腰のうねり」の意識がありません。

例えば、えてして「ゲーム」で描かれるCGの人体は、本物の人体の「うねり」を
再現出来ていないので、気持ち悪いです。

あとは、どう例えよう?

例えば、今のガンプラがどのようにすごいか、わかりますか?
いちばん最初のガンプラは、「肩」も「腰」も無かったですよね?覚えてますか?
腕の付け根から、腕がグルグルとスイングするだけでした。
脚の付け根から、脚が前後にスイングするだけでした。
最近のガンプラは、肩や腰が存在し、人間でいう肩甲骨や腰骨があり、そこまで「可動」します。
そうすると、「うねる」体が表現出来ます。

作り手は、身体感覚として、肩、腰が可動するものだということは知るといいです。

「腕」や「脚」は、胴体の「付け根」に見えるところから始まるのではなく、「肩甲骨」と「骨盤」から始まっています。そこからが「腕」「脚」なのです。
そこから可動するのです。

あるいは、表情筋が、顔面にどのように走っているのかも、知るとよいです。
表情筋が破綻していない程度の表情のデッサンは身につけるべきです。

眼球が、顔の中に埋め込まれた「球」であることを意識できれば、
「眼」の描き方は変わるはずです。
黒目が、眼球に乗った「伏せたお皿」の形をしているのだとわかれば、
黒目の描き方も変わるはずです。
瞳に映る「光」も変わってくるはずです。

以前にご紹介した、下記こちら

 

「脳の右側で描け」というテキストの教えることを身に付けてゆく段階で、
この、タイトルの文字通りの「人体のしくみ」を知ってゆくと、
有意義なのではないでしょうか?

念のために書きそえておきますが、こうして、人体の緻密さや正確さ、
光と影を描けるようにしてゆくべきだからといって、
「描き込まれた」「リアル」な「画」を目指して行かなければいけない、という
ことではないです。
シンプルな「漫画絵」を目指すのだって、いや、そういう画なら余計に、
人体の精密な把握が、差を作るはずです。


描いて描いて、描きまくれ!!


二冊目 「ブックデザイン」



この本、さがし方が上手くなくて、みつからず、
もう無いのだろうと思ってしまっていたものです。

本当はもう少し早くおすすめしたいものだったのですが。
もうひとつの懸念は、三冊目の本と同様。少々よいお値段である、ということです。

タイトル通り、本の装丁、ブックデザインに関する本です。
写真ふんだんに使われていて、そう考えればなるほどこの値段は納得はいきます。

「漫画家のなり方」本論で後述しますが、漫画を単行本にする際、あるいは
それを前提に、新連載の際の、デザイナーさんは、選べます。希望があれば。
その為に、本のデザインの知識、デザイナーさんのお仕事は、知っておくと良いです。

この本は、複数のデザイナーさんを取材し、その、デザインされた本を写真で紹介してくれています。
楽しいです。
こうした「質の良い仕事」を見ておいて、
「自分の漫画の単行本は、こんな風ががいいな・・・」と
イメージすることは、大切です。

勝手に、面白い本だと思っていましたが、この本、かつて出ていた本を
二冊にまとめて復刊された「復刻版」らしいのです。
で、この本が自分の書棚においてあるのを、ある編集さんがみつけ、
「あ!」・・・と。

「その本、「本のデザインの勉強したかったら読んどけ」って言われるやつですよ」
と言われました。
なので、しっかりとプロの出版関係者の評価もある本らしい・・・と
申し添えておきます。

ブックデザイン、
印刷や製本、
色彩レイアウト、
レイアウト、

そうした分野の知識は、身につけておくと有利です。
ご紹介した文献をアマゾン等で検索すると、関連した文献がいろいろと
紹介されます。
あれこれ見てみて下さい。

そうした分野に関しては、また、いくつかの手を使って、この先、
ご紹介したり、お知らせしたり、しようと思います。


三冊目 「デザインの自然学」



これは、「おすすめ」といっておいて恐縮ですが、
すべての方におすすめ、とは言いにくいかもしれません。

「レイアウト」に関する学術書です。
ちょっと難しいコトバで書かれています。

自然界に存在する、「美しいレイアウト」が、
人間が創るものの美しさの前提に存在していることについて書かれています。

例えば、植物の葉の形、
動物の、各部の比率、
そして美しい人工物の細部と全体の比率の関係、
そうしたものに、共通のレイアウトパターンが存在することを、
図とテキストでひもといてくれます。

そのレイアウトは、漫画においては、
「構図」「コマ割り」「コマ割りのリズム」の美しさに、すべて見られるものです。

漫画が、どのように「美しい」表現のリズムを内包しているか、気付くのは無駄ではないです。

安価ではない本です。
でも、じっくりと「書物」を読み込んで、「技術的教養」を身につけようと思われるのでしたら、
おすすめします。
セカンドハンド品でお手軽な値段のものがあれば、余計に。
簡単に言えば「宇宙の秘密、宇宙の仕組み」について書かれてあり、
この本のデザインそのものが、美しいレイアウトで作られています。
そして、学術的にワンダーで「楽しい」本です。



「漫画家のなり方」インターミッション そしたら 3も
良い本が どんどん在庫切れや絶版だ 絶句

割とビックリしました。
順を追って折り目折り目で色々な文献をご紹介したいと思っていたら、
これらも、新刊の在庫がもうあやしいことになっていました。

なので、予定より早く紹介してしまいます。

漫画において、力のある画を描くための、「脳の中のOS入れ替えマニュアル」です。
 
ふたつ目の「ワークブック」はまだあるのかな?新本が。

アマゾンでは、的確なおすすめコメントがふんだんに添えられています。
ご参照下さい。

解説を、以下に。

漫画の画が、「線画」を基本にしながら、アニメーションの、誰が描いたかわからない、という匿名性の「線画」とは違う質のものであること。

しかし、アニメーションの「線画」もまた、誰が描いたかわからない、という匿名性が宿命なはずなのに、漫画の「線画」とは、別の力と質を持っています。

アニメーションの線画は、アニメーションであることにおいて、その魔法の力を発揮します。
その魔法の源泉つまり、アニメーションであることの条件は、
「時間経過で作られる連続性」
です。

アニメーションの線は、集団作業の匿名性によって描かれ、その匿名性によって大量生産を保証されていますが、「時間経過の連続性」を与えられることによって、描かれるキャラクターの連続性つまり統一感、さらにはそれを超えて、「演出家個人の個性、作風、息づかい」までもが表現可能になります。

厳密には、優れたアニメーション作家は、匿名性が強いはずの線画に、総合演出ではなくてもそのパートを描いた作画家の「個性」のようなモノを吹き込むことが出来ます。
アニメーションの、さらに上級な特徴として語られて良いかもしれない魅力が、そこにあります。
集団作業のおそろしさ、魔法、です。

一方、漫画は、「時間経過の連続性」によって「匿名性のある線画」をつづって見せてゆく、というアニメーションの持つ魔法は使えません。
「連続性」のある線画も、「匿名性」の線画も、そのどちらも、漫画にはありません。

代わりに、漫画には、「その瞬間」のすべてを描く線画以上の線画、「作家性」を瞬時にさらけだせてしまえる線画があります。
それが、アニメーションの魔法にあたる、漫画の魔法の大きな秘密のひとつです。

「右脳で描かれる線」に、その秘密の鍵はあります。

線画であって、線画でない。

地であって、像でもある。

輪郭を描くことで、背景を浮き立たせる。

線を描くだけで、面を表現できる。

面を表現するだけで、空間を語れる。

光を描くことで、影を現前させる。

人物を描くことで、風景を焼き付ける。

ひいては、
ドラマを描くことで、ストーリーを組み立てる。

ストーリーが、ドラマを導く。

そして、
ネームが、画を引き立たせる。

画が、ネームに力を、
ネームが画に説得力を、与える。

そうした思考方法を、漫画の言語は備えています。

「脳の右側で描け」ということは、言外に、
「脳の左ではネーム考えろ」ということを意味するのですが、
その両者は、互いに行き来し、らせんを描いて、そうして漫画は構築されます。

少しあとの「漫画家のなり方」本論で少しだけ述べますが、優れた漫画は、
「画」と「セリフ」とが、加えて「キャラクターの眼」と「フキダシの中心点」と「背景の消失点」と「描き文字」が、コマ割りというリズムと、紙の上の白と黒の光のボリュームの両極端に刻まれて、絶妙ならせんを描いて読む者のココロを踊らせます。

そうでなければ、どうやって、10センチ~20センチ四方の紙の中のインクのシミが、人間を笑わせ、涙を流させ、ややもすると人生を動かしたり出来ましょうか?

漫画の線は、線であって線ではない。
漢字が、画であり、同時に発音記号であるように。

そうしたことのヒントが、ご紹介したこの本には
書かれています。

単なるキレイな線の集まりでしかない画しか描けないレベルですと、漫画の魔法には近づけそうで近づけない。
永遠に。

プロの漫画家さんのほとんどは、この本に描かれていることを、はじめから出来るか、あとから練習して出来るようになったか、のどちらかで、いずれにしてもその魔法を身に付けています。
自分はちなみに後者でした。
それが身についた時には、ものごとの「内側」と「外側」がひっくり返る、「内部」と「外部」の概念がひっくり返る、そうしたショックが、ゆるやかな実感とともにやってきました。

その線が、その線以上の意味を持つ線になるように。
そのヒントをつかんでもらえたらと願います。



「漫画家のなり方」インターミッション 2
デジタルとコンピュータのこと おすすめの本

著作権のことと同じくらい、今、漫画家になろうという時に
自覚的であったほうがよいことが、
デジタルのこと、
コンピュータのこと、です。

おすすめの本をひとつ


2003年の本です。
太田出版さん、先見の明があります。

これも、もう新刊は無いようですね。

でも手に入りやすい価格でセカンドハンド品が入手出来るようです。
が、ご紹介して、みなさん買ってしまわれると、なくなってしまうかも。
(なくなりそう。なくなっちゃったらご勘弁。
そうしたら、皆さんで、版元さんに再版か改訂版の発行を打診してください。
案外そういうので、動いてもらえたりするものですよ、ホントに。
超巨大ではない(失礼)版元さんであれば、充分にあり得ます。
そういう運動がこうした所から成立すると、それは、よい「循環社会」です)

追記/本当に、いったん入手不能になってしまいました。嬉しくもあり、不本意でもあります。この本は、広く読まれるべきです。このブログアップの時点で十数冊あったものが数日でなくなったということは、それなりの需要がある、ということだと思います。みなさま、本当に、版元さんに、声を届けて下さい。どうかよろしくお願いいたします。090509
高値がつくのも、やっぱり仕方がないけど、不本意です。090512


自分は、漫画を制作する作業にコンピュータを使っています。
コミックスタジオや、フォトショップといったグラフィックソフトを使います。

以前、コンピュータを仕事に導入しようかどうか迷っていた時、当時のスタッフさんのひとりが貸してくれたのが、この本でした。
インタービュー形式で、山本直樹さん、古屋兎丸さん、福山庸治さん、やまだないとさん、フレデリック ボワレさん、5人の漫画家さんが、どのようにコンピュータを使ってらっしゃるか、を解説して下さっています。

読んで、コンピュータ導入を即決しました。

導入を迷っていたその当時、そしてこの本を読む、さらに5年以上前、90年代の半ば頃に、マックとフォトショップというツールが世の一部に知られ始めていた頃、

「これがやがて漫画に使えはしないかな?」

と、いくつかのアイデアがアタマに浮かびました。
まだ自分が漫画家として成立していない、アシスタント時代のことです。

しかし、当時のコンピュータのスペックでは、まだずいぶん難しそうなことばかりでした。
発想自体は、自分で言うのもなんですが、革命的でしたよ。
今、仕事で使っていることばかりです。

当時は、
「文章書く仕事のヒトは、ファクスが普及して、どこでも仕事ができるみたいでうらやましい。漫画もそんなことができるようにならないかね?」と言うと、
「ファクスの解像度で、漫画を送れやしないでしょ」と言われて終わる時代でした。

文章を送るのも、Eメールではないですよ、
ファクスですよ、ファクス!

数年経ったら、そうした「寝言」がほとんど実現していたのです。
そうしたことがこの本には書いてあって、コンピュータ導入を即決しました。

自分がいちばん参考になったのは、古屋兎丸さんの解説です。
自分がやりたいと思っていたやり方を、ほとんど実現なさっていました。

他の漫画家さんの解説も、もちろん参考になります。

アプリケーションやハードウェアの解説本とは違い、
「考え方」の本なので、今でもまったく古くありません。
むしろ、現在でも、よく読めば驚くことばかりが書かれています。

ここでも、申し上げたいのは、書かれている「技術」そのものではなくて、
それぞれの漫画家さんが、漫画を制作する作業について、どのような考えをもってらして、どれだけそのことを突き詰めて考えて、本当に実行してしまっているか、ということです。
この解説に出てこない、情けない失敗や、アイデア倒れもたくさんあったはずだということも、今ではわかります。

今から漫画家になろうという方は、
インターネットに無自覚でいられないのと同じように、
デジタルやコンピュータにも、無自覚でいてよい状況ではないです。

使わないにしても少なくとも、どういうものであるかについて知って、その上での取捨選択をして下さい。

コンピュータを使って漫画を描く、という作業は、自分も今はそうですが、週刊連載レベルの生産量を目指す際にも有効に使えます。
逆に、実は次に挙げる別の使い方の方が多いのかもしれませんが、もう少し小規模な漫画の描き方、例えばひとりで描く場合、あるいは、アシスタントさんをひとり、お願いするかどうか、という描き方をする場合の、人件費や、画材代や、時間の節約になります。

今は例えば、資料写真を撮影するのも、デジタルカメラが主流になってきています。
そうして撮った写真を、そののちどのように原稿制作作業に流し込んでゆくか、という際にも、コンピュータは有用です。

もちろん、コンピュータはあくまでも「道具」です。
音楽の世界で、「コンピュータらしくない音楽」もコンピュータで作られていると知った時、あるいはアニメーションや映画制作にコンピュータが不可欠になった時、漫画もやがてコンピュータを「道具」として使えるようになるはずだと思っていました。
今は、そうした時代です。

「道具」である以上、長所短所もあります。コンピュータを使う場合も、長所も短所もあります。それについても知っておいた方がいいです。

不思議なもので、こうした時代になる前に漫画の仕事を始めた漫画家さん、そしてそこからサバイブしてきた漫画家さんは、インターネットもコンピュータも導入すること無く、今も描き続け、そしてかなりの割合の方が、これからも今までの方法で描き続けて行くことができるように見えます。今の時点では。

しかし同時に、繰り返しになりますが、いまから漫画家になろうという方は、インターネットにもコンピュータにも無関心、という姿勢は、致命的に近い欠落です。

それが、「時代」と言われるものの性質なのでしょう。
そのことに抗っても仕方がありません。
音楽で食べて行きたい人が、
「自分は、レコード盤を出して、その収入だけで食べて行けなければ気が済まないんだ」
と言うのは趣味の問題で自由ですが、「時代」を無視した代償は受けなければなりません。

インターネットとコンピュータのことを知って下さい。使う使わないは、別にして。
例えばこの本で取り上げられている漫画家さんが、コンピュータに関してここまで自覚的であるのと同じくらいには自覚的に考えて、
「漫画にとってコンピュータとインターネットはどういう意味を持つのか」ということに関して、どうか持論を構築して下さい。

そしてまた、インターネットとコンピュータに強い、という「カード」は、それを使わないでも現役でバリバリにやってらっしゃる漫画家さんに挑んでゆく際の強力な武器になります。


コンピュータを自分がどのように漫画制作に使っているかは、ずいぶん先になりそうですが、別の機会にお話ししようと思います。



「漫画家のなり方」インターミッション
著作権の文献 ご紹介

ちょっと本編と別に割り込みです。
漫画家になりたい方と、今回に限っては、それ以上に、漫画家さま。

「自分が描いた漫画作品に関する法的権利関係」すなわち「著作権」に関する知識において、もしも、おそらくメインの取引相手先である出版社よりも自分の知識の方が弱いと感じてらしたら、「著作権」そのものの知識を身につけることをおすすめします。

文献紹介の章でも申し上げたとおり、この著作権に関してもまた、有用な文献はたくさんあるはずです。

自分が読んでみて、おすすめするに足る文献を一冊、ご紹介。
「出版」さらには「漫画」に特化しているので、たいへん読みやすいです。
この1冊で、スタンダードな、基礎の基礎は知ることが出来ます。
ご参照ください。

あら!?
値の張ったリセール品しかない?
ちょっとっ、高いよ!
定価は2400円ですみなさま!


しょうがないな、
おおもとの版元さん、こちら
まだここの通販で現品があるかも知れません。
時節柄(!?)、なくなりやすいかもしれません。

むしろ、他にもおすすめの本があったら、どなたか教えて下さい。
よろしくお願いいたします。



「漫画家のなり方」21
第6章 技術論としてのおすすめ文献 10プラス1


このような文献を10ほどご紹介。

漫画家志望の方が、ずいぶんと自分の才能に自信を持っているらしいことと関係があるのかどうか、みなさん、あまり、「漫画の描き方」を調べたり、突き詰めたり、人に聞いたりしないように見えます。

インターネットももちろんですが、本をはじめ、様々なことから「創作」については学んでおかなければ、今この世界にあるもの以上のものは作り出せません。

既存の何かに批評的であるならば、その批評対象の詳しいところを知らなければなりません。
今ある漫画や、漫画の技法に文句を言うならば、それらを熟知しなければなりません。
「型破り」は、まず「型」を知らなければ出来ません。

「漫画の描き方」的な文献は、少し前にくらべると、大変多くの数が世に出ています。
これから下記に挙げるもの以外にも、有用なものはありますし、また同時に、読んでも読まなくてもいいようなレベルのものも、それ以上にたくさんあります。
以下に列挙する参考文献は、自分が目を通した文献の中で、最上の有用性があると考えるものです。

漫画家さんが書かれたものがあり、小説家、シナリオライター、映像演出家、色々なジャンルの方が、そのジャンルのために書かれた技法書であったりしますが、すべて、漫画を創ることに応用がきくものです。

全部買いそろえても、1万円とちょっとの金額です。
中に書かれているノウハウが、本当に身に付くのなら、なんと安価な出費なのでしょう。

本は素晴らしい!

それぞれの文献を紹介し、あわせて、その文献をおすすめする理由を添えます。

他にも、おすすめしたい、あるいはおすすめ出来る文献は、多くあります。
ただ、これ以上挙げても、内容や主旨が同じようなものがかぶってきます。
それぞれの文献は、その文献が属するテリトリーのようなものから「代表」のようにピックアップしたものです。

文献は、数にして10ほど挙げています。
つまり、10ほどの、「技術論のテリトリー」のようなものを仮定して、その中から選んでいるので、さらにもっと読みたい、深く知りたい、とお考えになれば、そのテリトリーを深く探って、同種の文献をひもといて行くことはできるはずです。
具体的には、大きな本屋さんで、図書館で、あるいはアマゾン等のネット検索の「この本を買った人はこんな本も調べています」的な類似検索で、挙げた本の近隣にある本を手にすれば良いことです。
また、その時に、ここに挙げた文献の「本物度合い」を理解して下さっていれば、類似の本を手にするときの価値判断の基準は出来あがっているはずです。
あとは自分の好みと見る目で、自分の為になる文献を見つけることが出来るはずです。
役に立たないものを選別する目も備わるはずです。
そのようにして、生きた自分の漫画の技術を身につけて下さい。

文献の紹介に添付した各データは、入手の一助となればという限りの目的で添えていて、かなり適当なネット上からのコピペ等を元にしていますので、細かい部分で不正確が多々ある可能性があります。ご承知置き下さい。



1 「マンガの創り方 誰も教えなかったプロのストーリーづくり」



著者/山本おさむ
出版/双葉社
定価/3,990円 (本体 3,800円)
ISBN 978-4-575-30057-4

アマゾンだとすでに値の上がったリセール品しか無い瞬間があるようです。
探し方次第では、最近まで、新本を入手出来たと記憶しますが・・・

漫画家の山本おさむさんが書かれた本です。
どうでもいいけど、「山本」さんというお名前の方の「優れた漫画家率」、なんだか高くないですか?

現役の漫画家さんが文章で論理化した漫画演出技法書としては、筆頭に挙げたい本です。
ご自身が、おそらくはご自分の為に、漫画以外の様々なジャンルから「物語」の演出技法を学び、身につけたプロセスを明かして下さっています。
それをさらに言語化して、漫画家志望者やさらに現役の漫画家さんのスキルアップにも耐える論理を積み上げています。
たいへんページ数のある、ボリュームのある本です。読みごたえがあります。




2 「石ノ森章太郎のマンガ家入門」


著者/石ノ森章太郎
出版/秋田書店
定価/590円
ISBN-10: 4253172504
ISBN-13: 978-4253172509

なんと安価な!

前項で「現役の漫画家さんの代表作筆頭」を挙げましたが、こちらは「故人」あるいは「クラシック」と言うべき著作の筆頭に挙げたい本です。
「クラシック」筆頭ならば、手塚治虫さんの漫画入門ももちろん候補に考えられます。


石ノ森章太郎さんの著作を挙げたのは、自分の趣味のレベルの選択です。

ただ、いくつか、「こちら」を選択した理由は述べられます。
この、石ノ森章太郎さんの著作は、ご自身の漫画家キャリアが大変浅い時代に書かれたもののようで、その点に驚きます。
また、技法書として、現在でも充分に通用する内容を持っていることももちろんなのですが、本論ですでに述べた、
「よほどの特別な覚悟がないと、プロの漫画家になることはおすすめしない」
という主旨は、実は石ノ森章太郎さんがこの本で述べていらっしゃることです。

自分だけの空想の世界、自分が王様でいられる世界を、他人に明け渡すことの喜びと恐怖。

その点に関して、明確に、読者つまり漫画家志望者に覚悟を求めています。

漫画家になること、漫画家であることに関して、手塚治虫さんとはまた別の、深い「業」を感じます。
生半可に漫画家を目指さないで欲しい。
漫画家であることに命懸けであって欲しい。
石ノ森章太郎さんのそうした思いが、この本からもにじみ出ているのです。

本全体から、漫画家になりたいと考え始めてしまった人に向けての、祈りに近い思いが強く感じられます。




3 「快描教室 マンガの悩みを一刀両断!!」ほか 菅野 博士(菅野 博之)さんの漫画技術関係の著作

著者/菅野 博士
出版社/美術出版社
定 価/1470円
発売日/1999/10/15
ISBN-10: 4568501938
ISBN-13: 978-4568501933




山本おさむさんが、現役の漫画家さんの「理論」書の筆頭だとして、言い比べるなら、こちらの菅野 博士(菅野 博之)さんの著作は、「技法」書の筆頭であると言えば良いでしょうか?
あるいは山本おさむさんが「アタマにインストールする理論」であるのに対して、菅野博士さんは「目と手にしみ込ませる技法」でしょうか?
まあ。あえてふたつを言い分けるなら、という程度のものですが。

菅野さんの技法書は、理論と、ビジュアル面からのアプローチの、両面の融合のようなたたずまいです。
漫画の技法の分析という点において、これは「大発見」「大発明」だと自分は思っているものがあります。
おそらく菅野さんが名付けたであろう、「視線誘導」という、漫画のコマ割りの分析と構築の理論は、たいへん画期的です。
もちろん、「視線誘導」と名付けられたその技術は、漫画家さんはそれぞれ身に付けている技術です。
そして過去の技術書においても、同じことは書かれていないわけでは無かったのですが、菅野さんが卓越している点は、その「技術」に名前を付けて、比類のないくらいに分析し、体系立てた点です。

手前味噌になりますが、実は、まったく同じ発想の同じ理論体系を、自分も10数年前に「発見」しました。
それを「発見」した時は、「こんなことをしゃべったら殺される」と思いました。本気で。
それくらい、漫画の秘密、それぞれの漫画家さんの、創作のリズムのようなものがわかってしまう分析の仕方が、身に付いてしまったのです。
残念ながら、「視線誘導」などというナイスなネーミングを一緒に思いつくことが出来なかったので、自分の「発見」は、自分と、自分の周囲の限られた人にしか役に立つことはありませんでした。
「しゃべったら殺される」レベルの、値千金の秘術が、菅野さんの技法書には満載です。

「コマ割り」、「レイアウト」といった、ビジュアル面からのアプローチでの技法は、菅野さんの著作数冊で、必要にして充分なものが身に付きます。

「レイアウト」という考え方に関しては、押井守さんがご自身の映画作品について技術解説をされている本がいくつか出ていて、理論としてとても参考になります。そちらも併せておすすめしたいです。





4 「ベストセラー小説の書き方」


著者/ディーン・R. クーンツ、Dean R. Koontz、 大出 健(訳)
出版社/朝日新聞社
定価/720円(本体価格)/756円(税込価格)
発売日/1996/07
ISBN-10: 4022611561
ISBN-13: 978-4022611567

小説家が書いた、「物語執筆技法」として、コンパクトで明瞭です。
タイトルに何らかのアレルギー反応を感じる方は、本当に商業作家になりたいと思っているのかの自問自答を含めて、リトマス試験紙的にモノを考える足がかりにも出来るはずです。




5 「書きたい!書けない!なぜだろう? 」(夢を語る技術シリーズ)


著者/マリサ デュバリ、Marisa D’Vari、別所 里織、 岡田 勲(訳)
出版社/ストーリーアーツ&サイエンス研究所
定価/1890円
発売日/2002/03
ISBN-10: 4750002437
ISBN-13: 978-4750002439

ハリウッド映画のノウハウの海から生まれ出てきた多くの技法書のひとつです。
基本的には、シナリオ執筆技法のようなものに属します。
ハリウッド産の技法書は、いくつか読んで行けば、だいたい、どのような主旨が存在するのかはわかってくるはずです。
自分に合う優れた技法書を見つけ、必要なものを必要なだけ身に付けて、自分のものにして下さい。
そして同時に、それだけに捕われないように気を付けることも忘れずに。

この本は、それとは別に、
「苦しいのはわかります。でも、いいから、大丈夫だから、とにかく頑張って作品の出来や評価は気にせずに、ひとまず書き上げましょう。話はそれから!」
という、作り手の苦しみへの共感と愛と、作り手への励ましが感じられて、ステキです。

タイトルの通りのことが書かれています。

漫画描きたい、漫画描けない、なぜだろう・・・と考えることがあったら、読んで下さい。




6「ファンタジーの文法 物語創作法入門」 (ちくま文庫)
著者/ジャンニ・ロダーリ 窪田 富男(訳)



出版社/筑摩書房 (1990/09)
定価/840円
発売日/1990/09
文庫/347ページ
ISBN-10: 4480024816
ISBN-13: 978-4480024817

2項前の「ベストセラー小説の書き方」が、「物語を作る作家であること」への愛が強く書かれているように思えるのに比べて、この本は、著者の、「物語を作ること」への愛、あるいは「物語」への愛そのものが強くあふれています。




7 「映像の原則 ビギナーからプロまでのコンテ主義」(キネ旬ムック) (単行本)


著者/富野 由悠季
出版社/キネマ旬報社 (2002/02)
定価/2000円
発売日/2002/02
単行本/329ページ
ISBN-10: 4873765803
ISBN-13: 978-4873765808

富野 由悠季さんのこの本は、もちろん「映画」「映像」の技法書です。技術的に参考になることが満載であるのと同時に、この方らしいですが、「とにかくモノを考えろ!」というメッセージが基本を貫いています。
書かれている主張の中に、仮に、「それはどうなの・・・?」と思うところがあるとしたら(あります)、ならばその時にはキミは、有効な持論、反論、代案を用意出来ていないとダメなのだ、プロとはそういうものだ、という著者の基本姿勢がブレません。

君は生き延びることが出来るか!?




8 宮崎駿さんの絵コンテ

「ポニョ」とか、カラーですさまじいですよ。
それぞれの作品の絵コンテが、徳間書店から入手出来ます。

もう「宮崎アニメ」を、ただ楽しんでいる場合ではありません。
それではいつまでたってもただの「受け手」のままです。

「宮崎アニメ」の絵コンテが入手できるということは、クリエイターになりたいのなら、当たり前と思ってはいけない幸運だと思うべきです。

漫画作品では、優れた作品を読んで影響を受けたり参考にしたりすることは出来ても、その漫画作品の生み出される途上のプロセスに触れることはあまりできません。
アシスタントに付いた先の漫画家さんから、そうしたことのカケラでも盗み見れるのなら、実はそれはものすごく幸運なことだと言うのは、えてしてあとから思い知るばかりです。

宮崎駿さんの絵コンテは、作品の演出意図も含めて、スタッフへの指示の仕方、自問自答の痕跡、そうしたことを読み取ることが出来ます。
「これがひとりの人間の手で描かれたものか・・・」と驚くと同時に、
「ならば自分はどうしよう・・・」というところに、意識を持って行けるとよいです。

同じく、宮崎駿さんの仕事の仕方を見ることが出来るという意味で貴重なものは、「もののけ姫」のメイキング映像、
「「もののけ姫」はこうして生まれた」があります。こちらもオススメします。


また、宮崎駿さんの絵コンテを参照するならば、対比して、例えばガイナックスやスタジオカラーの、庵野秀明さんはじめ多くのクリエイターさんの手になる絵コンテ集をご覧になることもおすすめします。
(・・・高いな。新本ないんすか?)


両者の、作品の作り方に対する考え方の対比は、それぞれ必要と必然から構築されたもので、それを知ること、類推することは、モノ作りのノウハウを構築して行く際の、貴重で巨大な先例です。




9 「新インナーゲーム 心で勝つ!集中の科学」


著者/W.ティモシー ガルウェイ、W.Timothy Gallway、 後藤 新弥
出版社/日刊スポーツ出版社 (2000/06)
定価/1365円
発売日/2000/06
単行本(ソフトカバー)/284ページ
ISBN-10: 4817202106
ISBN-13: 978-4817202109

スポーツ技法書。
スポーツにおけるメンタルコントロールの技法書です。
弱いココロやダメなココロが発生してそこにハマり続けるメカニズムをひもといてくれています。
漫画を描いていれば、どこかの段階で必ず、
「まいったな」
「やんなっちゃうな」
となります。そうした時に有用です。




      10 本論「漫画家のなり方」

著者/一色登希彦

インターネット上で無料で閲覧出来るという点において、唯一無比です。

冒頭に述べたように、狭義の技術論ではありませんが、現在において必須と考える、心構えとしての技術を列挙します。
ネットでタダで見れますので、どうぞお目通し下さい。
ただより高くつくモノはないかも知れませんが。


      11 あらゆる長編ストーリー漫画単行本の第1巻と長編ストーリー漫画作家の読み切り漫画の短編集

正しくは、「技法としての文献」ではありませんが、これも添えておきます。
長編漫画の第1巻、なかでもつまり第1話は、漫画家さんの試行錯誤のすべてを見て取れます。
同じく、そうした長編漫画を描かれている漫画家さんが描かれる短編漫画は、同じ作家のその長編漫画との対比が出来るという意味において、参考になります。
もちろん、短編をメインに描かれている漫画家さんの作品は言うに及ばず、なのですが、対比が可能ということで、長編をメインに描かれている方の短編、は、参考になります。
ひと昔前の時代には、今よりももう少し、長編を描かれている漫画家さんが、短編読み切りを描かれる機会が多く、それを集めて単行本にする、ということが多かったように感じます。
それが少なくなってしまったように見えるのは、残念なことです。


      12 文献を読んでいただくにあたって

ここにご紹介した参考文献を読まれて、漫画家になりたいと考えている方が、何も得る所を感じない、というならば、やはり漫画家になることはおすすめしません。
それは、まだ、「好き嫌い」でモノを見ている、ということです。

本論の振り出しに戻って下さい。
このままここから先を読んで下さって、実用的な意味で得るところはありません。

文献を自分のものにして行く時に、必ず意識していて欲しいことがあります。

多くは作家さんでもある、上に挙げた文献の作者の、作家としての作品を、知っていようといまいと、好きであろうとなかろうと、その作家、あるいは作品への「好き嫌い」を、ご紹介した文献の評価に結びつけないこと。

自分自身、挙げた参考文献の作者の、作家さんとしての作品を、すべて知っているわけでも、すべて好きなわけでもありません。
すべての文献は、著者の皆さんが「プロの言葉」で書かれ、述べられた真実が込められたものです。
それは、そして、「創り手になりたい人」に向けて、切実に書かれたものです。
同時に、文献の内容が語る「技術」のディテイルについて、自分の目から見ても、それぞれの作者さんの文献に、
「そこは違うな」
「それはもっと、こう言った方がいいな」
と、突っ込みドコロを見つけようと思えば、いくらでも見つけられます。
でも、そうした思いが芽生えたら、こうも考えてみるべきです。
「じゃあ、そういうお前自身は、どうなんだ?」
そう考えれば、究極的には、
「もう、人の揚げ足取りはいいから、漫画を描かねば」
と、なるはずです。

列挙した文献は、切実に語られたものであると感じられるかどうか、をチョイスの主観的基準のひとつとしました。

ご紹介している文献はすべて、作家さんの切実さを感じる上に、さらに、「この有用性は、自分も保証できる。保証してでも目を通して欲しい」と思えるものを、挙げています。
ですので有用性は保証します。

読んで下さって、好き嫌いとは別に、何も得る所がないというならば、この項の最初に書いたように、本論を読み進めていただいて、得る所もまた、何もありません。
その時点で、この文章を閉じて、自分の信じる漫画を描くか、漫画家になることを目指すのはやめてお家の外に遊びに出かけることをおすすめします。

本論も含めて、これら文献を「こんなもの読まなくても漫画家になれる」とお考えになる方は、そもそも、もう、今、漫画家になっているはずなのです。

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