一色登希彦/ブログ 

一色登希彦 ブログ / 三重県の小さな町に在住 現在は飲食店に従事 漫画描いてました

PREV | PAGE-SELECT | NEXT

≫ EDIT

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

| スポンサー広告 | --:-- | comments(-) | trackbacks(-) | TOP↑

≫ EDIT

「漫画家のなり方」65

第12章 アシスタントの日々になすべきことについて

   その22 死なない程度に、たくさん恥をかき、傷付いていい 

本当にそれで 死にもの狂いか?

まだ自信の持てない漫画、あるいは逆に、無根拠に自信たっぷりの漫画を編集者に見せ、あるいは仕事場でお世話になっている漫画家さんに見せ、友人知人に見せ、絶賛されないわけですからまあ落ち込みます。

さらに仕事で失敗して怒られて落ち込みます。


こうした日々の間に、「グッタリしている自分を見つめるもうひとりの自分」を、自分から切り離して、育てておいて下さい。
その自分には、「ああ大丈夫、大変かもしれないし大変に見えるけど、死ぬほどのことじゃないから」と言う役を与えて下さい。

そうすることで、死なない程度に恥をかいて、苦しみ、なおかつタダでは起き上がらないクセを身に付けて下さい。

その「もうひとりの自分」は、自分の背後数メートル、という位置に置いておきます。時にはもっと離してもよい。
背後霊のように、いや、守護霊的な感じ。
そして、自分の振る舞い、言動を、他人事のように俯瞰して見つめます。
人のさまというのは、見ていて、ある程度、ちゃんと客観的に批判的に見ることができるでしょう?
その「客観視」に近い状態で、自分のことを見つめられるようにするのです。

自分の声を録音して再生したものを聞くと、ものすごい違和感があるでしょう?
あるいは自分の「動画」を見ても、同じように。
見るなり聞くなり、「なんてステキな声、なんてステキなルックス!!」と思う人は少ないはずです。もちろん思ってもいいですよ。
その「主観」と「客観」の落差は、完全には埋めようが無いけれど、「他人は自分をどう見ているか?」という意識を持つことは大切です。

その作業が、自意識の不用意な肥大を防いでくれます。

自意識ばかりで自分を見てしまうと、例えば何か失敗をしたときに、ものすごく恥ずかしくなる、ものすごくつらくなる、その感覚だけが自分を支配してしまいます。
技術的に未熟な作品を描いておいて、その点を正しく指摘されただけなのに、自分の存在すべてを否定された気になってしまいます。
同じことを、他人のさまとして見れば、逆に、
「そんなに恥じ入る必要はないよ」
「そんなに途方にくれなくてよいよ」
「消え入りたいと思うような怒られ方ではないよ」
あるいは、
「うなだれないで、ちゃんと話を聞いて、前向きに対応する方が、互いに気持ち良いよ」と思えるはずです。

そのようなことと同じように、「もうひとりの自分」に、冷静に自分を見てもらうのです。
あるいは、自分が「もうひとりの自分」になって、「ロボットな肉体の自分」を操縦します。
「ロボットな自分」の見てくれが、都合良く100%理想の人物ではないかもしれないけれど、「こうした方がちょっとはマシで、カッコいいかも」という振る舞いをさせることは出来ます。

そのようにして、「実力以上に振る舞う」でもなく、「自己卑下」でもなく、正しく今の等身大の自分、そして背筋を伸ばして、できればほんの少し、足がつらない程度の背伸びをする姿、に自分をコントロールしておくと良いです。
「もうひとりの自分」は、自分の中の、エンジニアだったり、カウンセラーだったり、理想の編集者だったり、最良の読者であったり、様々な「良き助言者」でいてくれるように、育てます。

ここから先、漫画を描き、それを仕事にするのならば、「孤独」な状態が増えます。
その、基本的に孤独な、「自分ひとりだけ」の時に、「もうひとりの自分」さえいないと、本当にひとりぼっちになってしまいます。
「自意識いっこ」だけで世界に相対することは、ものすごく危険です。

もうひとりの自分に見張ってもらわないでいると、恥や苦悩がもたらす苦しみに歯止めが効かずに、もうなんだか死んでもいいか、死ぬほどのことかもこれ、と思って、本当に死んでしまったりします。


←前の項を読む続きの項を読む→

| 長期シリーズ/「漫画家のなり方」 | 09:06 | comments(-) | trackbacks:0 | TOP↑

TRACKBACK URL

http://toki55.blog10.fc2.com/tb.php/123-aec3623a

TRACKBACK

PREV | PAGE-SELECT | NEXT

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。